『牙狼<GARO>』全話視聴計画(第十三〜十七話)

第十三話 約束
 今回は総集編である。鋼牙が嵌めている指輪「ザルバ」が延々と視聴者向けに情報を語ってくれるのだが、彼は鋼牙よりも余程人間社会の常識を弁えているし、人間味もある。
 今回私は、過去の名シーンを見直している内に、幾つか気付いた事があった。
 まず魔戒騎士にとって「最高の称号」という設定の「ガロ」について。若造である鋼牙がこれを受け継ぎ名乗っていられるのは、そもそも親である大河が優秀だった上に、若くして死んだからだと気付いた。『MAKAISENKI』では昇進していたので、その称号に恥じない実力をやがては身に着けて、周囲からもそう認められるのだろうが、現時点では親の七光りである。鋼牙に対して上から目線の三神官の態度は見ていて腹立たしかったが、冷静に考えればあれも道理に適っているのかもしれないとも思った。
 続いてホラーの返り血を浴びた人間が美味になる件について。血がもしも「返り血」でなくとも良いのであれば、ホラーは多少の痛みを我慢して自分の血を人間にかけてから食べるであろう。それをしない事を見るに、飽くまで「返り血」でなければならない様である。第二話で鋼牙はホラーに対して「御前等の天敵だよ。」と自称していたが、敗れる心配の薄いホラーにとっては、魔戒騎士は寧ろ極上の調味料の生産者と言えるかもしれない。
 また倒されたホラーは死ぬのではなく封印されただけであり、十二体ずつ魔界に強制送還されている、という設定も明らかになった。ザルバや神官がホラーの名前・特徴に詳しいのも、過去何度もそのホラーが倒されているからなのかもしれない。
 あと、三神官の従者である「コダマ」の正体について、ザルバですら何も知らないという事も判った。
第十四話 悪夢
 零の回想場面で、空間を一点で交わる三つの線を用いて1/3πずつに区切った特殊な十字架が登場する。彼の背中の紋章もこれに則っているらしい。この紋章の元ネタについて、大昔に宗教学の授業で習った気がするのだが、どうにも思い出せない。思い出したら追記する。
 現在東の管轄で魔界に入るための魔導馬を使えるのは鋼牙と零しかいないという設定が、三神官から語られる。
 第九話の設定では、魔導馬を召喚するための試練に必要な撃破数は百体だった筈である。また第十三話の設定では、魔戒騎士は原則として一子相伝の様である。そして鋼牙は放映された映像で確認出来るだけでも、今までの約一季節だけで十体以上のホラーを倒している。このペースで行けば、デビューから三年以内に試練を受けられそうである。
 原則として一子相伝という事から、一人の魔戒騎士の生涯の活動期間は約三十年と仮定してみる。そうであるのに、魔導馬を使えるのが若造の二人だけというのは不自然である。
 そこで私は、この不自然さを解決するための仮説を四つ程考えてみた。
 第一は、三神官に何らかの深い計画があって、嘘を吐いて二人を騙したというものである。しかしこの場合、後々二人が東の管轄のベテラン魔戒騎士に出会った時点で直ぐに嘘がばれるので、可能性は低い。
 第二は、この四か月の鋼牙の戦果は、カオルを餌にした御陰で撃破数が飛躍的に上がった故の異常なものであるというものである。しかしこれでは、公式サイトの設定(http://www.tv-tokyo.co.jp/garo/cast.html)で鋼牙より若い事になっている零が既に試練を終えていた事との整合がつかない。
 第三は、東の管轄の他の魔戒騎士は、何年経っても試練を乗り越えられないでいるというものである。鋼牙が牙狼の称号を独占していられるのも、他の連中がだらしないからだと考えれば、非常に整合性の高い仮説であると思われる。
 第四は、他の魔戒騎士の魔導馬には、魔界に入るだけの能力が無いというものである。これも第三説と同じ理由で、かなり可能性が高い。
 牙狼が普段剣に宿らせている緑の炎を体に纏う場面で、零は同じ技を青い炎で行っていた。第七話で二人を象徴していた二棟のビルの照明が、一方は緑で一方は青であった理由が、これで判明した。
第十五話 偶像
 追撃の場合であれ魔戒騎士の管轄を超えた活動は違反だと判明する。これを悪用したホラーが今後登場したら面白い。
 カオルは父親について詳しいと思われる彫刻家を訪ねるため、廃墟の様な施設に一人でのこのこと入っていく。この警戒心の無さには少々驚かされた。だが、ホラーに憑依された人間と同じ位足が速かったり(第六話)、雑魚ホラーなら蹴りで倒せてしまう程に強かったりした(第四話)せいで、変質者への警戒心が育たなかったと考えれば、世の男性の多くが変質者を怖がらないのと同じ理由から、さしておかしな事ではないのかもしれない。
 実際今回も、ホラー「ガーゴイル」に憑依された変質者に追いかけられるが、ナイフ攻撃を見事に避けたりして、かなり善戦していた。
第十六話 赤酒
 魔戒騎士の支援者である魔戒法師が初登場した回である。
 魔戒法師阿門の家を訪れた鋼牙は、「バルチャス」というゲームを挑まれる。このゲームは駒を動かすという点では将棋に似ているが、駒が触れ合った時には精神力によるバーチャル戦闘が行われ、これに負けた方の駒が盤上から消えるというルールの様である。
 駒同士のバーチャル戦闘は、オープニングムービーにあった戦闘の影絵に酷似しているので、おそらくあれはこのバルチャスをイメージしたものであると思われる。
第十七話 水槽
 孤独で痩せていて、現実の同世代の女性とまともに人間関係を結ぶ度胸が無く、少しだけ機械に詳しい眼鏡男子。このどう見ても宮崎勤がモデルとしか思えない人物を、水の中でしか生きられないホラー「ハル」が唆して餌である人間を誘拐させていた。本人に憑依する訳ではないので、ザルバもこの連中の行動を中々突き止められない。
 ホラーの特性上、第六話とは違い、ホラー狩りが悪人退治と結びつかない。醜い人間を守る事について、第十話のアスモディの質問は一切無視していた鋼牙だが、今回は自分から迷いを吐露していた。
 前回、ガーゴイルに憑依された人物のナイフ捌きすら避けたカオルに対して、この眼鏡男子は憑依もされていないのに一太刀浴びせる事に成功する。狂気を帯びて本気で努力してくる人間は意外に手強いものである。
 カオルを救うために大急ぎで敵のアジトに向かわなければならないのに、雑魚ホラーとの戦いで時間を浪費してしまう場面があった。ここで鋼牙は少なくともいきなりは変身せずに戦っていた。ひょっとしたら最後まで変身しなかった可能性も高い。時間が無いのに生身での戦いを行ったという事は、一度変身するとしばらく次の変身が出来ないのだろうか?あるいは時間制限の回復に時間がかかるという事だろうか?
 変身を解いた後に即座に再変身出来るとなると、時間制限の意味はほとんど無くなってしまう。『仮面ライダークウガ』のペガサスフォームの様に、これについての詳細な設定が早く紹介されれば良いと思う。
 終盤、ようやく鋼牙とカオルの関係が恋愛物語らしくなってきた。互いに相手を意識している事に気付いた途端のすれ違いというのは、実に物語として映える。

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