牙狼
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冒頭、生身の魔戒騎士一人よりも強いと思われる機械獣が登場する。魔戒騎士の中でもかなり強い零ですら、これと一対一になった際には変身に追い込まれていた。
素材にホラーが使われている点と、破損しても人間の血液の力で修復が可能である点において、第3話における号竜「コルト」と共通している。
後半、この機械獣が赤い仮面の男の製品である事が判明する。そして彼の発言から、この強さですらまだ失敗作であると判る。人間型号竜の「号竜人」も改善するらしいので、それぞれの強化版への期待が高まる。
鋼牙と零は赤い仮面の男に二人掛かりで挑むが、さっぱり勝てない。しかも赤い仮面の男が巨大機械兵「イグル」の召喚を始めると、呆然としてそれを見守り始める。
当初は二人のこの躊躇を奇妙に思った。だがイグルは存外あっさり倒せた上、搭乗していた赤い仮面の男に爆風で大打撃を与え、形勢の逆転にも成功したので、案外二人とも瞬時に「どうせ大した兵器ではない」と見抜き、初めから爆風の利用を考えたのかもしれない。
赤い仮面の下には大方の予想通りレオの顔があったが、まだシリーズ全体の三分の二なので、当然どんでん返しもまた予想された。
第17話 赤筆
映画に出てきた烈花が再登場する。彼女とカオルとの衝突は見所。映画でも烈花とカオルは潜在的な敵対関係にあったというのが私の分析だが(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20111212/1323616291)、到頭敵対関係が顕在化した。
前作では、第一話でカオルがホラーの返り血を浴び、原則として近々死ぬという宿命を背負い、第十七話でカオルはその事を知った。そして今作では第1話で鋼牙が破滅の刻印を記され、原則として近々死ぬという宿命を背負い、やはりこの第17話でカオルはその事を知った。
公式サイトにおける話数の表記こそ、前作は漢数字で今作は算用数字と変えているが(当ブログの表記もこれに倣っている)、かなり露骨に話数を利用した前作との繋がりが見て取れる。
第18話 群獣
ラテスが赤い仮面の男に通じていた事が判明する。
第7話では魔戒騎士以上の戦果を上げる魔戒法師に不快感を示していたが、あれは保守派の振りをするための演技だったのであろう。
同調者の勧誘についても、ラテスが随分頑張っていた事が判明する。第13話の赤い仮面の男の勧誘の拙劣さを思い起こせば、実に適切な分業体制だったと言える。
結局ラテスは利用された挙句、赤い仮面の男に粛清されてしまう。地面に倒れた際の衝撃で露出した彼の髪は黒々としている。第7話でザルバに「爺さん」呼ばわりされていたにしては若々しい。彼もまた神官達と同じく、寿命を超越した存在なのだろうか?
そして赤い仮面の男がやはりレオではない事も判明する。これも予想通り。
私としては、更にもう一つ「裏の裏をかいて、真の黒幕はレオでした」等のどんでん返しが欲しい所である。
今回は号竜人も登場していたが、第16話と比較して目立った性能の向上は見られなかった。赤い仮面の男も忙しくて、まだ「改善」をしていないのだろうか?
第16話で失敗作呼ばわりされていたのと同形の機械獣も登場する。これまた改善点は不明。
第19話 楽園
前回から登場していた機械獣は、自爆の際の火力が失敗作よりも若干向上していた。赤い仮面の男は第16話にて爆風の威力を体で学んだので、それを活かした改善を施したのかもしれない。
赤い仮面の男の正体が、レオの双子の兄である布道シグマだと判明する。以前冗談で書いた説(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20111221/1324469264)が偶然当たってしまった。
シグマの方がレオより優秀だったのだが、布道兄弟の父はレオを後継者に選んだという設定が語られる。しかもその理由を何故かレオにしか教えなかったらしい。これではシグマが非行に走るのも当然である。
シグマは、メシアの牙「ギャノン」の死体を改造する事で、地上に出てきたホラーをその瞬間に倒せる最強の号竜「イデア」を作ろうとしている。だがイデアの燃料は人間の命であったので、恋人と対立したらしい。
ホラーの犠牲者数とイデアの燃費についての考量のデータは、作中では明かされないので、私としてはこの件についてどちらが正しかったのかの判断は避けた。
ただ、仮に全てのホラーが殲滅されたとしても、シグマが期待する「争いの無い、皆が笑って過ごせる世界」が来るとは思えない。例えば前作でイシュターブ・ウトック・モロクに憑依された連中については、人間として細く長く悪事を行われるより、憑依されて太く短く悪事を行って鋼牙に殺された方が、世の中にとっては良かったかもしれないのだから。
実際我々視聴者が住む現実世界にはホラーは存在しないが、皆が笑って過ごせる世界には程遠い。
下手をすると、設計図の改善によって燃料が要らなくなったとしても、イデアが却って世を乱す可能性すら有り得る。
終盤、全ての魔戒騎士を殺す準備が整った事をシグマは宣言する。魔戒騎士の総数は不明だが、ともかくその全員に破滅の刻印を記すのは、大変な作業だったと思われる。
第20話 列車
大量の魔戒騎士が登場するが、彼等を演じた者のほとんどはエンディングロールでキャストとして扱われていなかった。
シグマのイデア建造計画と魔戒騎士皆殺し計画は、謎の存在「ガジャリ」と契約してワープしてきた鋼牙に阻まれる。契約の対価は不明だが、零の反応等から推測する限り、かなり大きそうである。
シグマの敗因は、第18話で貴重な戦力であるラテスを殺してしまっていた事にあると言える。殺すのは計画達成の後でも十分間に合っただろうに、あの時点でもう殺してしまったのは、余程自分の力量に自信があったからなのであろう。
今回は手に汗握る戦いが延々と続いた。観ている最中は楽しかったのだが、最終回までにこれを上回る迫力の戦いがあと一回は無ければ、かなり残念な展開になってしまうので、少々心配である。
第21話 牙城
シグマはせめてイデア建造計画だけでも果たそうと、満月の魔力の代わりに鋼牙の肉体を素材にしてギャノンの死体の改造を始める。
ここでふと思ったのは、ガジャリとの契約の内容次第では、鋼牙の肉体は既に「不良品」である可能性もあるという事である。
ただし、契約の内容を知る零が、迷いつつも概ね鋼牙の救出を目指している事から考えるに、対価はそこまで重いものではないのかもしれない。
元老院には破滅の刻印が消えた魔戒騎士が大量にいたのだが、町中にホラーが出現したという情報を聞いた零は、その敵の数を確かようともせずに、いきなり自分と負傷中のレオだけで鋼牙を救うから他の連中はホラーを退治するという分担を提案する。シグマ風情は自分とレオだけで確実に何とか出来ると確信していたのであろう。その自信の根拠は不明だが、ともかくこの二人だけの救出作戦は大方の予想通りまずは失敗に終わる。
ゴンザが持ってきた回復薬でレオの傷が治り、烈花・カオル・邪美も加わったので、ようやく再出発の体制が整う。
第14話では元老院の建物の内部にもそれなりに立派な医療機関が存在していたが、レオの回復の度合いから判断するに、冴島家の薬の方が元老院の薬よりも性能が良さそうである。