『サクラ大戦V』やってみた。

サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~ 通常版

サクラ大戦V ~さらば愛しき人よ~ 通常版

 id:tkn125さんとの約束(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20110801/1312150393)を果たすため、サクラ大戦Vをやってみた。
 一応攻略本も持っていたのだが、一周目は敢えて読まずに挑戦した。それどころか操作方法も世界観も弁えないまま突入した。
 偶然にも、主人公に感情移入するにはこれが却って良かった。主人公の大河新次郎は19歳の新米であり、ほとんど予備知識の無いままニューヨーク勤務を命ぜられ、右往左往しながら成長していくキャラクターだったからである。
 当然この大河の能力はさして高くないのだが、他の五人の戦士の中心にあって北極星の如く全員の要となるという設定であった。その意味では大河は『論語』が理想とするリーダーなのだが、一方で彼は論語で批判の対象となっている「暴虎馮河」を必殺技の名前にしている。
 舞台は西暦1928年のニューヨーク。しかし劇中にはしばしば合衆国憲法修正第18条を無視して酒が登場していたので、当初は驚いた。先達に聞いた所、これは完全なパラレルワールドだと思った方が良いとの事。他にも、人種差別がほとんど無い等、かなり理想化されたアメリカが描かれていた。
 ただし終盤では、アメリカ支配こそ世界征服の第一歩という発想の悪役が登場し、遠回しに当時のブッシュ政権の対外政策を批判している節もあった。
 大河の他者への対応をプレイヤーはある程度操作出来、それが形作る人間関係が筋書きや戦闘の難易度に変化をもたらす仕掛けであった。私は折角の一周目だったので、下手に媚びず、もしも自分であったならば採るであろう対応だけを選び続けた。
 その結果としての五人の戦士との友好度の序列は、ダイアナ>サジータ>ジェミニ>昴>リカリッタの順であった。これに従って自然の流れでダイアナを最重要パートナーに選んだので、エンディングも彼女が中心であった。
 二周目からは別のエンディングも攻略本に頼りつつ見てみたい。一応コンプリートも目指す予定である。
 以下は各メンバーへの感想である。
大河新次郎
 未完成だからこその強さが強調されていた。説明書の32ページによると、1908年8月20日生まれの19歳との事である。未完成な大器というキャラクターに相応しい設定である。
 この事から、彼の20歳の誕生日こそがエンディングなのではないかと当初は想像していたのだが、話の途中で20歳を迎えてしまい、しかもその件が強調されなかった。これはシナリオの欠陥と言えよう。
ダイアナ=カプリス
 『最後の一葉』よろしく、元気を出しさえすれば助かるが出さないともうすぐ死ぬという設定であった。普通の作品で今時こういう少女を出すと、意地悪な消費者は「で、それは何という病気なのかね?」と聞いてくるものであるが、この作品は「霊力」という概念を導入する事でそれを回避していた。なかなか良い策だと感心した。
ジータ=ワインバーグ
 五人の戦士は誰もが大河の影響で登場時と終了時で人格が変化する。世上では九条昴の変化こそが注目されているらしいが、私はサジータの変化こそが一番強烈だったと思っている。
ジェミニサンライズ
 精神的に中途半端に成長した結果、仇敵を許してしまう場面があった。だがこの仇敵は、社会全体にとっても敵となる存在であった。このよろしくない行動は公憤と私憤とを混同したが故のものである。
 登場が一番早いので途中までは最も感情移入していたのだが、この一件で一気に評価が下がった。
九条昴
 一番人気があるらしいのだが、ほとんど交流出来ないまま終わった。二周目以降に期待。
 完成しているからこそのある種の弱さは、新次郎の「未完成だからこその強さ」の対極的設定であると思った。
 この種の弱さが強調される場面として、譜面を再現するだけでは一流とは言えないジャズを選んだのは、一応の正解ではある。ただ惜しむらくは、昴が得意とする能においても、囃子は楽譜の機械的再現ではない。
リカリッタ=アリエス
 かなり気を配った心算なのだが、何故かさして仲良くなれなかった。
 ハンバーグにトラウマがあるのに、必殺技を出す場面ではハンバーガーを食べたがっていた。パンに挟めば大丈夫なのか?
サクラ大戦V~さらば愛しき人よ~ ファイナルガイド (ファミ通の攻略本)

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論語 (岩波文庫 青202-1)

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オー・ヘンリー傑作選 (岩波文庫 赤 330-1)

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