本日朝、新木場駅から二つ隣の駅で下車した私達は、アニメーション文化から二次的に派生した文化を観賞するために、聞きしに勝る長蛇の列に並びました。入場前から被り物をしている猛者もいて、初挑戦者の私はただただ圧倒されるばかり。
最初に向かったのはホーンテッドマンションです。当初は「何十分も待つ価値が本当にあるのか?」と不安でしたが、実際に観賞してみて、その価値が充分過ぎる程にあった事を知りました。
「子供にはきつ過ぎるのではないか?」と思ってしまった程、これでもかこれでもかと大量の奇怪なイメージを見せつけられました。その妥協をしない姿勢は大人でも楽しめるというか、大人こそが楽しめる設計でした。
「奇怪なイメージに満たされた空間」を見ている内に、『魔法少女まどか☆マギカ』における魔女の結界を思い起こしました。そして奇遇にも次の施設でシャルロッテ似のオブジェに出会えました。
まどか☆マギカとディズニーの親和性を説いた私の見解(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20120618/1340029406)は、やはり間違っていなかったと思いました。
幼児性というものは少なくとも通俗的観念においては原始性に通じます。そして原始性は野蛮性に通じ、また理論的な解釈・批評の困難さが文明人を自負する者に根源的意味での恐怖感を与えます。この施設の中のオブジェは原則としては夢一杯の可愛いものが多かったのですが、その笑みの背後には一種のプリミティヴィズム風の違和感が内在している場合もありました。
続いて行ったのが白雪姫。これが本日一番の収穫でした。中身はひたすら魔女に脅かされるお化け屋敷になっていたのです。
しかも最初は人骨や幽霊といったもので脅かし、次はそういった恐怖に耐性のある科学的な子供への対策として鰐の噛みつき等の即物的・現実的な恐怖で脅かし、そして最後に魔女が魔法ではなく梃子の原理を応用した人間的な落石の罠で脅かしてきました。本当に怖ろしいのは人間であるという、ある意味で『白雪姫』の原点回帰的な恐怖を再確認させてくれました。
中盤で一瞬だけアリバイとして七人の小人の牧歌的な家の中も覗けますが、これも次なる恐怖のためのスパイスの役割を果たすに留まっていました。
牧歌的雰囲気で子供を招き寄せて地獄を見せるこのアトラクション、私は心行くまで堪能しました。
我々の前後のカートに乗っていた子供達は降車時にビービー泣いていました。彼等は「気を付けよう、甘い言葉と、暗い道」という標語にぴったりの教訓を存分に味わった事になります。
そしてこの教訓こそが、そもそもの『白雪姫』に込められた重要なメッセージだった訳ですから、元の話とディズニーによって変化した話の両方を知っている者にとっては、メタ的な意味での感慨も味わえます。
それにしても不思議なのは、『魔法少女まどか☆マギカ』劇場版においては、画風に騙されて映画館に入った挙句にトラウマを背負った子供が出たとかいう件で内外で大々的な議論がなされたというのに、同じ構造を持ったこのアトラクションに関しての議論が世上で見受けられない事です。
なお、これが白雪姫の施設に飾られていた紋章です。紋章学に疎い私には、誉めるべきか批判するべきかは判りません。諸賢の御指導を仰ぎたく思います。
これがシンデレラ城。
その後、ぶらぶらと園内を散策した後、ジェットコースターにも乗りました。これは無重力感を一度も味わえない、ゆとりコースターでした。お化け屋敷ではあんなに硬派だったのにと、残念に思いました。
ここでスマートフォンの電池が切れました。丁度良いので、午後の私達の行動は秘密と致します。他の施設の内容は皆さんが自らの目で見極めて下さい。
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