小説版『魔法少女まどか☆マギカ』を読んだ。あと、気付いた事とか。

小説 魔法少女まどか☆マギカ (まんがタイムKRノベルス)

小説 魔法少女まどか☆マギカ (まんがタイムKRノベルス)

 何と500ページを超える大著であった。しかも筆力も相当高かった。
 視点は原則として鹿目まどかに固定されており、稀に暁美ほむらの視点が入る程度であった。
 このため、話の筋書きはアニメ版とほとんど同じなのだが、読者に必要な情報を伝えるための様々な工夫がなされていた。例えば、志筑仁美が上条恭介への想いを美樹さやかに伝える場面は、まどかもその席に居た事になっていた。また佐倉杏子はアニメ版でさやかに語った自分の過去を、まどかにも伝えていた。
 「話の筋書きはアニメ版とほとんど同じ」というとガッカリしてしまう未読者もいるかもしれないが、さにあらずである。社会環境を勘案すると事実上文字媒体でしか表現出来ない現象の描写を行う事で、独自の価値を生み出していたのである。具体的には、美少女が血みどろになったり、眼が潰れたり、服や皮膚が焼け焦げたりといった描写である。
 
 あと、今回気付いた事がある。それは、キュゥべえに騙されたと気付いた少女達は大勢いるという設定なのだから、あの世界でもネットや口コミを通じてキュゥべえの危険性を告発する声は大量に残っている筈だ、という事である。
 物語中で主要登場人物がそうした情報に接触出来なかったのは何故であろうか?幾つか仮説を考えてみた。
1.偶然
2.キュゥべえが情報を削除しまくっている。
3.キュゥべえは情報に疎い子ばかりを狙う。
 もし2でなかった場合、私がほむらなら、身動き出来るぎりぎりの年齢まで遡った上で、可能な限りキュゥべえの危険性を告発する噂を流しまくるであろう。まどかだけに真実を教えるよりは、余程効率が良いと思う。