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話は前回のエンディングから一年後から始まった。面白かったのは、主人公の大神一郎がまだ少尉だった事である。士官学校を首席で卒業し、一年がかりで徳川残党を叩き潰し魔王ルシファーまで撃退し、更に一年間の艦隊勤務を経ても、なお少尉というのは、非常に硬直化した人事である。昇進が年功序列なら、せめて高級な勲章でも付けてやって欲しかった。
第一話の時点で、帝都の怨念がどうのこうのといった話が出てきたので、ラスボスは平将門ではないかと予想した。この私の予測はある程度当たり、ラスボスの搭乗機の名前が「新皇」であった。
今回の敵は外部勢力ではなく、陸軍内部に巣食い財界とも深く繋がっている過激派である。これは、ジオン公国という最大の敵を最初に倒してしまったために次回作の敵を連邦軍内部に見出さざるを得なくなったガンダムシリーズに似ている。
過激派を率いる京極慶吾は、太正維新を叫ぶ青年将校の人気を背景に若くして陸軍大臣になった人物である。海軍の人事が硬直化している反面、陸軍はかなり大胆な抜擢を行っているようである。
年功序列を絶対化すると無能な老人が威張り続ける組織になり、抜擢を大胆に認めると縁故による派閥が生じる。ここら辺の勘案は難しい所である。
京極の部下には天笠士郎少佐という、甘粕正彦がモデルと思われる人物がいる。彼等が蹶起するのは大雪の降る11月9日であり、これもどう見ても現実の2・26事件を重ね合わせていると思われる。
京極の真の理想は人と魔の共存する帝都である。人と魔の共存を目指す軍事クーデターと言えば、『真・女神転生』のゴトウが思い起こされる。前述した陸軍の抜擢人事の傾向からも、そして異形の存在として世間から忌み嫌われた人物が京極に共鳴している点からも、彼等には真・女神転生の「カオス」側の理想が強く意識されていると思われる。当然、絶対的な階層秩序を背景にクーデターを叩き潰した海軍側が「ロウ」という訳だ。
敵幹部には「五行衆」という、木火土金水の五行を意識した連中がいる。「金剛」が「木喰」を嫌い「水狐」を好いている等、ある程度五行相克と五行相生が意識されているようにも見えたが、この法則は余り徹底されていなかった。もう少しこの法則を活用して面白い人間模様を作って欲しかったものである。
金剛は何度倒してもしつこく登場するのに対し、水狐は米田中将を負傷させる等の手柄を立てながらも、一回負けて一回苦戦しただけで敵集団から見捨てられていた。この扱いの差の原因は謎である。帝国華激団との戦いが始まる前の手柄の数が考慮されたのか、それとも「火車」が第四話における自分の敗北の責任を、協力者であった水狐に押し付けたりしたのだろうか?
あと、『サクラ大戦V EPISODE0』(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20130113/1358009471)で登場した数々の奇妙な名前の刀の初出が本作だと判った事や、『サクラ大戦V』(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20121229/1356774130)の台詞にあったヴァックストゥーム計画の全貌が判った事等は、『V』からサクラ大戦シリーズに参入した私にとっては、個人的に面白かった。
なお、誰も撤退させずに全戦闘を勝ち抜いた結果、御褒美として第十三話に行けた。そして少尉任官後三年の勤務と絶大な功績により、漸く中尉に昇進し、パリ留学も決まった。周囲の皆は祝ってくれたが、苦労と報奨が釣り合っているとは言い難く、余り嬉しくなかった。
最後は恒例の、各人物の感想である。ヒロイン達の序列は、いつも通り、私の初クリア時における主人公との仲の良さに従っている。
大神一郎
前作では遥か遠くに居た南光坊天海の顔を完全に認識し記憶出来たのに、本作第五話では水狐に接近してもその正体を見抜けなかった。二年間の間に近視が進んだのか?
真宮寺さくら
中盤まで序列が低かったが、終盤で急に一位になってくれた。こちらとしても一番好きなヒロインなので、個人的にはベストエンディングである。
前作では嫉妬をしても顔を曇らせるだけだったが、本作では目を逆三角形にして迫ってくる。既に女房気取りなのであろう。
レニ=ミルヒシュトラーセ
途中まで男性だと思っていたし、その後もさして気を使わなかったのだが、何故か二位になった。本当に不思議である。
桐島カンナ
同じく、ほとんど気を配らなかった上に戦闘中に一度も庇わなかったのだが、何故か相手からは好かれた。
イリス=シャトーブリアン
通称アイリス。
前作では随分嫌われたが、今作では好かれた。私がこの数日間で丸くなったのか、それとも彼女の方で大人になったのか。
バスの中で行われたミニゲームの大富豪では、その出自通りに序盤は三連続で大富豪となり、私は随分苦しめられたが、最終的には大逆転勝利をしてやった。エッヘン。
神崎すみれ
色気が凄いが、彼女の本当の意味での夫はカンナであると思われる。
夏服になると却って露出度が低下する、面白い人である。
ソレッタ=織姫
最初はとことん嫌われていたが、中盤で少しだけ改善された。
逆に戦闘では、序盤は花形だったが、中盤以降目立たなかった。
李紅蘭
後方支援型のためか、ほとんど庇う必要が無かった。この順位は必然的なものである。
マリア=タチバナ
同じく後方支援型のため、戦闘中には仲良くなれず。しかも劇場内でも何故かほとんど遭遇せず、この地位になった。
元革命家だが、ミニゲームの大富豪では最後まで革命が出来ず、ここでも最下位になった。
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