「満年齢に単純に一歳を加えるだけでは、数え歳とずれる事もあるよ。」と、親切に「リバティ」の執筆陣や読者に教えてやりたいと思った。

 孫引きになるが、「幸福の掲示板」の2013/08/01(木)20:16におけるUMAさんの記事「週刊新潮8月8日号より一部抜粋」(http://antikkuma.1616bbs.com/bbs/antikkuma_tree_r_771.html)によると、池上彰氏の守護霊にインタビューをしたと称する幸福の科学に対し、池上氏は「肖像のパブリシティ権侵害に当たると思います。内容に関しても、気になった点はいくつかあります。例えば、本の中で守護霊さんは〝NHKを55歳で辞めた〟と言っているのですが、私が退社したのは54歳。私の守護霊なら間違えないと思うんですけどね。書店に並んだこの本が、あたかも私が書いたように見えるのにも困っています」と述べたらしい。
 これに対し、幸福の科学グループの「リバティ」という雑誌は、「週刊新潮の悪魔が、幸福の科学に「霊言は営業妨害だ!」と叫んだ理由」という記事(http://the-liberty.com/article.php?item_id=6439)で「ちなみに、池上氏の守護霊は鎌倉時代を生きた人物であり、年齢を「数え」で表現したのであれば、まったくずれはない。」と反論している。
 果たして本当に「まったくずれはない」のか疑問に思ったので、私は調査を開始した。
 Wikipediaの「池上彰」の項目(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E5%BD%B0)によると、池上氏の誕生日は「1950年8月9日」となっている。そしてNHKを退社したのは「2005年3月」となっている。
 この情報を信じる限り、確かに本人の言う通り、退社時の満年齢は54歳である。
 では数え歳だとどうなるか?実は数え歳というのは、単純に満年齢に一歳を加えたものではない。生まれた時点で一歳と見做した上に、誕生日やその前日ではなく元旦に加齢するというのが、数え歳の規則なのである。
 つまり池上氏は2005年1月1日の時点で、数え歳では既に56歳になっていたのである!仮に加齢の日を旧正月であるとしても、2005年3月にはやはり数え歳56歳になっていた筈である。
 よって前述の「リバティ」記事の「まったくずれはない」というのは間違いであった事になる。
 勿論、「鎌倉時代を生きた守護霊が中途半端に現代の満年齢の規則を学んだ結果、こうなったのだ!」と言い張る事はまだ可能である。だが、「まったくずれはない」は流石に言い過ぎである。
 私は親切なので、これを機に「リバティ」執筆陣や「リバティ」の盲信者に対し数え歳に関する規則を教えてやろうと思い、貴重な時間を削ってわざわざこんな記事を書いてやったのである。
 なお、引用したページの最終閲覧日時は、どれも西暦2013年8月4日午前11時10分である。

池上彰の政界万華鏡 (OR books)

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