『BLASSREITER』(ブラスレイター)全話視聴計画(第3・4話)

ブラスレイター VOL.2 [DVD]

ブラスレイター VOL.2 [DVD]

第3話 感染拡大
 冒頭、ゲルトはやはり死んだ可能性が高いとされている。マスコミは一転してゲルトもまたデモニアックだったと主張し始める。浮気してゲルトを怒らせたジルも、この論調の御陰ですっかり悲劇のヒロインである。
 XAT隊員アマンダの弟のマレクは、学校に行こうとしても苛めっ子達に阻まれてしまっている。彼等の主張によると、「お前の国」からデモニアックが来るから、マレクもデモニアックに決まっているとの事。その危機を救ったのは、またしてもあの青い鎧の正体の青年である。
 青い鎧は、XATからはデモニアックと同じく「融合体」とみなされ、「ブルー」という仮名で呼ばれ始める。一方、彼のバイクに内臓されている人工知能の少女は、彼を「ジョセフ」と呼ぶ。
 前回ゲルトに襲われたジルとマシューは、二人とも48時間後の検査をクリアするが、マシューは精神が不安定になっていたため釈放されない。そして結局しばらくしてデモニアックになってしまう。
 前回に引き続き、「48時間」という目安はまたも破られた事になる。そろそろこの数値を見直すべきではなかろうか?
 融合体になったマシューは簡単に脱獄する。何故なら、固く閉ざされていた扉が金属だったので、ドアと融合してさっさと脱出できたのである。
 デモニアックが金属と融合出来る事は判明していたのに、感染の可能性の高い人物を拘禁する際にこうした施設を使用するとは、一体何を考えていたのであろう?
 逃亡後のマシューは、問答無用で強力な武器を使用するXATに追い詰められる。彼はまだ多少の理性を保っていたので、この際に言語を用いて命乞いをする。「何故私を殺そうとする?怖くなって逃げただけだ。姿が変わったからか?私は化け物なのか?人としての権利は無いのか?」
 マシューの発言は正論である。そもそもマシューが極めて容易に逃亡出来る状況を作ったのは無能な国家権力の側である。そしてこの時点でマシューは誰も襲ってはいない。ゲルトの一件でジルを恨んだヘルマンが、腹癒せにジルを過剰に脅していたので、ジルが「襲われた」と誤解しただけである。酌量の予知の高い逃亡罪しか犯していないマシューに対し、デモニアックと同じ外見になったという理由だけで、強力な武器で先制攻撃を仕掛けたXATの方が、余程危険な連中である。
 しかもこのマシューの命乞いにヘルマンはまともに応答しようとせず、投降を呼びかけるだけである。
 マシューは殺されるぐらいなら殺すと決意し、完全に異形化する。マシューは異形化した後も、殺害の目標を、「自分を殺そうとした者達」からせいぜい「自分を化け物と見下した者達」へと広げるだけで、死体から変化したデモニアックのような無差別殺人を目指そうとはしない。
 この辺り、かなり同情の余地のある状況である。
 ジョセフは青い鎧に変身してマシューを倒しに来る。XATは、自分達の敵の敵である筈のジョセフまで敵と見なし、両者への攻撃を続ける。
 結局マシューはジョセフに殺されるが、今回XATのやった事は単なる差別殺人未遂ではないかという気分になり、到底「一件落着」という気分にはなれない。
 先にマレクへの苛めを伏線として描いていた事も、視聴者をマシューに同情させるための優れた効果を持っていたと思われる。
 「悪魔化する者がいる」という状況が既存の差別を一層深刻にしていくという設定は、確実に永井豪の『デビルマン』からの影響であろう。
第4話 包囲網
 マレクへの苛めは続く。
 苛めっ子達は、マレクと同じ立場だったヨハンを脅し、ヨハンにマレクを騙させ、マレクを呼び寄せる。そしてヨハンにマレクを殴らせるのである。
 仕方無くマレクを殴ったヨハンの「功績」を讃え、苛めっ子達は彼を自分達のグループに入れる。そして「これでお前も立派なこの国の人間だ。」と言う。「マイノリティを迫害してこそ、マジョリティに同化したと評価出来る」というのが、彼等の見解なのであろう。
 なお呼び出しの際にヨハンがマレクに使った偽の動機は、ゲームを借りたいというものであった。そしてマレクはそのゲームについて「ニトロプラスのゲームでしょ?」と応答している。この「ニトロプラス」とは、『BLASSREITER』の制作に参加したゲーム会社である。
 ここは単なる楽屋ネタとしても楽しめるが、深読みをすれば、「これから描く苛めを単なるフィクションとして鑑賞するな!」という警告とも取れる。またニトロプラスのゲームは大半がアダルトゲームらしいので、「この苛められっ子達もまた、アダルトゲームをしていたりするので、単純に無垢な存在であるとは言い切れない。」という設定を暗に伝えているのかもしれない。
 同じ夜、XATは「ブルー」が潜伏していると思われる地区を封鎖していた。争いを好まないジョセフは人間態のままじっとしていたが、封鎖地域内で自分とは別の融合体が発生したと知って、動き出す。
 デモニアックを大量に発生させたのは、第1話でゲルトに融合体化の薬を手渡した科学者と同一人物である。
 XATの隊員達はブルーとデモニアックを同一視し続けるが、アマンダだけはブルーの戦い方が市民を庇うものだったのかもしれないと気付く。
 因みにアマンダは、様々な状況証拠から、デモニアックの感染経路が血液である事についても、科学者達に先駆けて突き止めている。
 アマンダのこれらの抜群の洞察力が、苛められている弟の状況を見抜く事に全く割かれていないという構造が、非常に皮肉な対比となっている。
 終盤、実は生きていたゲルトが久々に再登場する。
エクセレントモデル ブラスレイター エレア~Niθ Ver~

エクセレントモデル ブラスレイター エレア~Niθ Ver~

デビルマン 全5巻セット 講談社漫画文庫

デビルマン 全5巻セット 講談社漫画文庫