- 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
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前回の戦いの負傷で気絶したジョセフは、マレクに救われて応急処置を受ける。主要登場人物同士の偶然の出会いが続くというのは少々御都合主義的であり、個人的には減点の対象としたい。
マレクはジョセフの看護のために、この日は学校に行こうとしなかったのだが、それでもマレクへの苛めは続く。「学校に来るな!」というのは苛めの口実でしかなく、それが満たされれば次の理不尽な要求が待っていたのである。
自分が行う「苛め」という行為について、「それ自体が目的ではなく、手段だ」とする建前を無理矢理にでも維持するというのは、真の悪にすらなりきれない屑の中に最後に残った僅かな良心が奇形化したものであり、非常にグロテスクである。
苛めっ子集団に寝返ったヨハンは流石に後悔し、自分が壊したゲームと同じ作品を買ってマレクに返そうとするが、マレクはそれを前夜にヨハンがやったように地面に叩きつけて壊す。
ヨハンと別れた後、多少の罪悪感からマレクは自分の手を何度も気にする。これも後の重要な伏線となる。
一方、前回の戦いで包囲網から逃げ出したデモニアックも、これまた偶然路上で遭遇したゲルトにより破壊される。デモニアックの破壊は、かつて一瞬でゲルトを英雄に押し上げた行為だが、今回は現場をマスコミに撮影されなかったので、誰からも称賛されない。
ゲルトはその後、かつての職場のレース場に潜入してバイクを走らせるが、彼を逆恨みするイーゴは危険な体当たりを敢行し、失敗して勝手に自滅する。しかし翌朝のニュースでは、イーゴがジルよろしく自分こそ被害者だと言い張っている映像が垂れ流される。
ゲルトへの否定的な意見が強まる中、ヘルマンとマレクだけはゲルトを信じ続ける。
ただし、二人のゲルトへの信頼の寄せ方には、大きな差異がある。
ヘルマンの場合は、かつての職場でゲルト・イーゴの人格を知る機会があり、今の職場でジルの本性に触れる機会もあった。そういった実体験が、彼なりの根拠となっている。
マレクの場合は、不遇な自分と不遇になった英雄を重ね合わせた挙句の、盲目的な崇拝である。『葉隠』等にも垣間見られる傾向だが、自己の崇拝対象が危機に陥り「佞臣」に離反される中、自分だけが疾風の中の勁草になるという状況は、社会の傍流に追い遣られている者にとって、ある種の理想なのである。
融合体化したマシューの血を浴びて以来、融合体化の兆候を見せていたジルは、護送中に融合体となり、暴れる。そして駆けつけたゲルトに殺される。ただしゲルトの戦い方は、英雄が弱者を守るためのものではなく、私怨を晴らすようなものであった。しかもマスコミのヘリまでもついでに破壊してしまう。
この時も、ヘルマンはゲルトを基本的に信用しているからこそ正気に帰るよう呼びかけたのに対し、マレクはその行為を無理に正当化しようとして苦しむ。ジョセフはそんなマレクに苦言を呈する。
暗躍してデモニアックを増やしている例の科学者は、今回も群衆の中に登場する。彼女の独白から、真の黒幕であるマドワルド=ザーギンの名が明らかになる。
第6話 悪魔を憐れむ歌
サブタイトルは"Sympathy for the Devil"の邦題と同じであるが、北米版では"The Song that Pities the Demon"と直訳されている。こうなったのは北米版の翻訳者が単に日本の事情に詳しくなかっただけかもしれないが、元来「悪魔を憐れむ歌」という邦題は原題のニュアンスを損なっていると批判されてきたものであるし、話の内容も歌とほぼ無関係であったので、結果的にこれで良かったと思われる。
アマンダは久々に休暇をもらい、マレクの担任からの大量の留守電を聞き、マレクが学校に行っていない事を漸く知る。
これは正確には、苛めという外的要因により「学校に到達出来ていない」と表現すべき事態なのだが、アマンダは全てをマレクの内面の問題に還元し、カウンセラーがどうのという話をする。それが一層マレクを傷つける。
マレクはアマンダが自分に無理解なのは、「この国の人間だから」と言う。ここで、二人が実の姉弟ではないかもしれないという情報が、視聴者に与えられる。
ここまでは「姉のアマンダだってきっと差別を乗り越えてエリート部隊に配属になったのだから、君も頑張れ!」と思い込んでいた一部の視聴者も、「これはひょっとしたら努力では乗り越えられない強烈な差別なのではないか?」と考え始めたと思われる。
作中の未来ドイツ社会は、XATの隊長が黒人である点に着目してしまうと、現代よりは差別が少ない社会に見えてしまう。だが差別の実態は時代によって変化するものなので、「昨日存在したA人差別は、今日はどの程度か?」という定点観測だけに頼ると、ほぼ常に人類は平等化へ向けてひた走っているかの様に見えてしまうのは当然である。
今日の差別の実態を知るには、昨日とは別の誰かが差別されていないかを考えなければならない。そしてマレクは、何らかの理由で現実世界にはまだ存在しない、ある種の強烈な差別を受けているのである。
ゲルトは、ヘルマン経由で与えられたマレクからのファンレターや、ジョセフの説得により正気をやや取戻す。そして次に自分が暴走したら殺すようジョセフに頼んだ後、自分が破壊した工事現場にヘルマンだけに通じる暗号を残す。
暗号を理解したヘルマンはマレクを連れて、ゲルトに会いに行く。だがゲルトは結局暴走してしまい、ヘルマンやマレクを敵と思い込み、襲う。そこにジョセフが現れ、約束通りゲルトを殺してしまう。ヘルマンもマレクも、それぞれ心に深い傷を負う。
- 作者: 田代陣基,山本常朝
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