『BLASSREITER』(ブラスレイター)全話視聴計画(第15〜18話)

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第15話 神を讃える千年の騎士
 オープニングが漸く変更され、ゲルトはついに偽りの主役の座から解放される。今回からのオープニングでメインとなるのは、メイフォン・サーシャ、そして新キャラクターの日系人シドウの三人である。彼等が乗る黒・白・赤の三色の新鋭機「アポカリプスナイツ(黙示録の騎士達)」は、ベアトリスの融合体と激しい空中戦を繰り広げたり、地上を徘徊する大量のデモニアックを掃討したりする。アマンダもパラディンで頑張ってみせる。ジョセフは最後の方で少しだけ登場し、謎の赤い融合体と肉弾戦をしてみせる。
 アマンダとジョセフが連行された先は、テンプル騎士団の後継である「ツヴェルフ」であった。ここの指導者は宗教服に着替えたヴィクター「管区長」である。彼等は多くの兵器メーカーを傘下に収めており、裏部隊からXAT等の機関を動かしていたという設定なのだが、総大将自ら出向して「所長」だの「局長」だのと様々な職に就かなければならなかったのであるから、幹部級の人材は不足しがちであると思われる。
 ザーギン達が大量のデモニアックを発生させた事で、軍も警察も太刀打ちは出来なくなる。そして平和な時代には世論から到底容認されなかったであろう非人道的な研究の成果として生み出された高性能な兵器を所有していたツヴェルフが、政府から依頼される形で正式に歴史の表舞台に復帰する。
 ここまではツヴェルフの思惑通りの展開である。この展開を見ると、ザーギンはヴィクターに逆らっている心算でありながら、彼の掌の上で踊っているかのようにも思える。
 しかしツヴェルフを本人達の予定よりも早く表舞台に引き摺り出したのは、そもそもザーギンの意図する所でもあった。どちらが相手に利用されているのかは、現時点ではまだ何とも言えない。
 ジョセフは意志が強いため、融合体化した日から今日まで暴走せずに活躍してきた。しかしその長所こそがジョセフの限界でもあると考えたツヴェルフの研究者陣は、敢えて彼を暴走させて強くしようと考えた。これもザーギンがジョセフに対して望んでいた事と似ている。ジョセフは姉への想いから、敢えて自主的に暴走装置を装着する事にする。
 アマンダもまた、ツヴェルフへの反感を持ちつつも、彼等の手中にあるマレクへの想いから、敢えて共闘を決意する。
 終盤では、実は生き延びていたウォルフが、隊員達を再生させる努力をしていた。本人が諦めて背を向けたその時、アルの死体だけが再生の兆候を示す。
 それにしても、「生命に似た謎の敵を倒すための出先機関の背後に、全てを知る宗教的秘密結社がいて、敵の頭目すら半ば結社の手の内にある」という構図は、『新世紀エヴァンゲリオン』に酷似している。そう考え始めると、XAT隊長の声優がネルフ司令官と同じであるのも、本作品がエヴァンゲリオンへの「返歌」である事を伝えるための、意図的な配役である気がしてくる。
第16話 再会
 ツヴェルフ本部の所在地が、表向きは半世紀以上の歴史を持つ自給自足のコミュニティである「ベツレヘム実験都市」である事が、その地に向かうバスの車内放送で明らかになる。
 このバスに乗っていたのは、融合体化したヘルマンである。彼はベアトリスによって融合体にされ、しかも生体認証ではツヴェルフの要人と見做される状態にされていたのである。その上で、アマンダがツヴェルフに捕まっているだの、ツヴェルフがブルーを使って融合体を操っていただの、ウォルフをたぶらかしたのもツヴェルフだのという、様々な虚偽の情報を吹き込まれていたのである。本人としてはアマンダを救いたいという一心で来たのであるが、ベアトリスの目的はヘルマンの暴走によるツヴェルフ本拠地の混乱であった。
 そして案の定ヘルマンは暴走して、ジョセフを殺そうとするのだが、ガルムを超える最新鋭の戦闘バイク"666"を発見した途端に、急にその強奪へと目的が変化し、パラディンを二機破壊してさっさと逃げ去ってしまう。アマンダは彼を追う。
 ベアトリスがヘルマンを暴れさせたのは、ツェッペリン空軍基地をウォルフに襲わせる作戦の陽動のためであった。しかしヘルマンによる被害が些少であったため、出撃したアポカリプスナイツには帰還命令は出なかった。ベアトリスは仕方無く自ら変身して、アポカリプスナイツとの交戦を決意する。
第17話 獣の咆哮
 アマンダは帰還命令を無視してヘルマンを追い駆け続け、遂に説得に成功する。自暴自棄になっていたヘルマンを奇跡的に立ち直らせる事が出来たのは、物語前半におけるゲルト・アル・ブラッドの話題を説得の材料に使えたからである。呆気無く前半で退場させられたかに見えたかつての主要登場人物達だが、彼等は未だに生き延びた戦友達の心の中で大活躍をしているのだ、と思い直した。
 再び同士となった二人は、そのままXATとしてウォルフ討伐に向かう。
 前回発進したアポカリプスナイツは、ツェッペリン空軍基地に向かう途中、デモニアックと融合した戦闘機による迎撃と背後から迫るベアトリスの挟み撃ちにあったが、絶妙の工夫でこれを突破して空軍基地の爆撃に成功する。
 だが、復活後はウォルフの言いなりになっていたアルが、生前に匹敵する正確な狙撃で爆弾を次々に撃ち落としていく。しかしウォルフと敵対していた頃の記憶がほんの少し残っていたせいで、最後の爆弾だけは狙いが逸れてしまう。ウォルフ軍は多大な損害を出す。
 第14話では幸福と不幸との間のどんでん返しの繰り返しに驚かされたが、今回は戦況のどんでん返しの連続に驚かされた。
 こうしてツェッペリン空軍基地の戦いはツヴェルフ優勢の形となるが、アポカリプスナイツも損傷が激しかったために敵を全滅させる能力は残っておらず、補給と修理のために帰投する。この時間を利用して、ウォルフ軍も体勢を立て直す。
 その頃、ツヴェルフはジョセフの強化実験に成功し、また666のパーツを流用する事でジョセフの愛機ガルムを「ガルム改」にする。ヴィクターはこれを活用したがる。しかしシステムに未知の部分が多過ぎる事を憂慮するサーシャは、もう一度だけアポカリプスナイツによる出撃を希望し、受理される。
 同じ頃ウォルフもまたベアトリスとの通信で、自分の力量を示してみせなければ見捨てられる立場である事を自覚しているという意味の発言をしていた。
 互いに力を回復し、そして互いに雇い主から存在価値を疑問視され始めたウォルフとアポカリプスナイツとの間で、第二戦が始まる。
第18話 第四の黙示
 アマンダとヘルマンも空港に到着し、デモニアックとの間で陸戦を開始する。
 空ではアポカリプスナイツは苦戦を強いられる。業を煮やしたヴィクターは、強化したジョセフを戦線に投入する。
 ジョセフが空港に到着した途端、一部の精鋭兵を除く大半のデモニアックは、ウォルフの指示を無視し始める。ベアトリスの発言によると、これはジョセフの「位階」がウォルフよりも高いせいらしい。
 こうして絶体絶命の状況に陥ったウォルフだが、やはり戦術の天才としての頭脳は衰えておらず、ジョセフを上手に誘導してジョセフを逆恨みするヘルマンにぶつけ、両者の相討ちを狙ったのである。そして本人はまんまと逃亡に成功する。
 ウォルフの逃亡によりベアトリスも空戦の意義を失い、撤退する。
 手の空いたアポカリプスナイツはヘルマンからジョセフを守るために地上に来るのだが、完全に暴走したジョセフからは彼等も敵と見なされてしまう。
 「理性の箍を外して強化する」という方針を採用した以上、こうなる事はほぼ予測されていたであろう。ヴィクターはかなり無能である。しかもそのヴィクターですら直ぐに自己の誤りに気付いて撤退命令を下すのだが、部下たちは呆けたようにジョセフの暴走映像を眺めるばかりで、中々命令をアポカリプスナイツに伝えようとしない。ヴィクターの部下達はヴィクター以上に無能である。これこそ、俗世間を操る際にヴィクターが自ら「所長」や「局長」に成らざるを得なかった理由であろう。
 どんなに優れた兵器を所持していようと、所詮カルトはカルトである。自己の価値観を世間の価値観の荒波に晒して切磋琢磨するという訓練を受けていない連中は、どこまでも知性を堕落させていくものだ。
 こうしてツェッペリン空港の戦いは、一応はザーギン側の敗北という形で終わる。
 しかしこの直後の国連の会議の場面で、デモニアックの暴走はドイツ中で発生しており、ドイツ全土ではなおザーギン側が優勢という事が判明する。
 ここで諸国の外交官はドイツの大使を偉そうに批判する。
 確かにザーギンがこの未曾有の事件を起こしたそもそもの原因は、ドイツが自国に蔓延っていた移民差別を野放しにしていた事にある。第13・14話の記憶が鮮明であると、諸国に批判されるドイツの姿は自業自得に見えてくる。
 だがよくよく考えれば、自ら進んでより激しい苦痛を受けに行く難民はいない。移民達は、比較的ましな苦痛で済むドイツを移住先に選び、そして諸国より概して弱い差別を受けていた筈である。
 そこまで思いを馳せると、偉そうにドイツを批判する諸国の外交官こそが、あれやこれやと理屈をつけてマレクやジョセフを殴っていた身勝手な三人組の同類に見えてくる。
 この席でドイツは、多国籍軍の派遣と暫定的な統治権の移譲を要求される。
 ジョセフの暴走を目にして、ヴィクターは凍結していたアンチナノマシンの研究を再開する。どこまでも行き当たりばったりな男である。
 逃亡に成功したウォルフだが、ベアトリスに解雇を通告され、第三勢力となる。そしてアマンダは執拗に彼を追う。
ACTION WORKS BR-05 ヘルマンブラスレイター

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ACTION WORKS BR-03 ジョセフブラスレイターバーサーカーモデル

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