これだけ芸能人や政治家の不倫を社会的に叩く日本で、姦通罪の創設を唱える声が聞こえてこないのは何故だろう?

 テレビをつけると毎日のように芸能人や政治家の不倫がやたらと叩かれている。
 不倫はそもそも犯罪ではなく、せいぜい民事上の違法行為にすぎない。それなのに大々的にスキャンダルの扱いになっている。
 ここまでは多くの良識派や法律マニアが指摘する所である。
 私はこの現状に怒りを感じるが、それ以上に不思議さや興味深さを感じている。
 具体的には「そんなにも日本国民の多数が、不倫を個人間の悪ではなく社会悪だと思っているのならば、何故姦通罪を創設しようという国民運動が起きないのだろうか?」という疑問がわくのである。
 かつては民事問題に過ぎなかった行為が、議論の末に刑事罰の対象となるという流れは、著作権法第119条第3項の新設等、しばしば起きている事である。
 それなのに、これだけ不倫を憎んでいる者が多い国で、姦通罪に関しては、科料の様な軽い刑事罰を上限とする創設の提案すら見かけないというのは、実に不思議である。
 そして私には不思議なこの現象を、私と一緒に「不思議だなぁ!」と指摘する者を見かけないのも、実に不思議である。
 ひょっとして日本で私だけ、この問題に関しての阿吽の呼吸を理解していないのだろうか?