麻原彰晃処刑について思った事を幾つか語る

 麻原彰晃処刑について思った事を幾つか語る。
※「死後に崇拝対象とならない様に」と行政に圧力を加える行為の是非
 処刑の是非、処刑の時期、処刑後の対応のすべてについて、「死後に崇拝対象とならない様に工夫して欲しい」という意見が見られた。
 しかし大っぴらに行政に思想界の動向を左右するための高度な判断を任せてしまう事は、いつか自分達の首を絞める事になるかもしれない。「A党の綱領のこの部分の人気を低下させるために、国土交通省は全力を尽くす」等の発想が正当化されると、自由主義は大きな打撃を被る。
 ついでに言うと、麻原の神格化は必ずしも治安にとってマイナスではない(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20170722/1500707245)。
※オウム関連死刑囚が十三名という苦悩
 そうは言っても私だって個人の立場としては麻原を持て囃す者が増えるのは不愉快だ。
 特に困ったのがオウム関連の死刑囚が十三名という件である。キリストと十二使徒に準えられなければ良いが・・・。
※「EUのダブルスタンダードを撃つ!」自体が、時にはダブルスタンダード
 ネットには「途上国の死刑を放置して日本の死刑に文句をつけるEUのダブルスタンダードを撃つ!」と息巻いている人が多い。
 そして完全平等主義者等、その発言をする資格のある思想の持主も多いだろう。
 しかしながら、普段別の話題では途上国を蔑視したりヨーロッパを崇拝したりしている者がこんな宣言をしたならば、それ自体がダブルスタンダードである。
※「死刑廃止(または抑制)・現場の射殺はおおらかに」という国を頭から馬鹿にしないで欲しい。
 EUの圧力に反発する者には、「日本国は丁寧に裁判をしてから悔悟の時間を与えた上で数名殺す。ヨーロッパは逮捕せずに現場で殺しまくる。だから日本の方が偉い!」と主張する者が多い。
 そして一理ある意見ではある。
 だが「投降さえすれば決して死刑にならない。警官に抵抗すると軽い罪でもその場で殺される」というのは、罪と罰の均衡の観点からは問題があるものの、投降を促して被害の拡大を防ぐと共に、警官の死亡率を下げる効果がある。
 よってEUを頭から馬鹿にするのではなく、それぞれの制度の利害得失をしっかり考えた上で判断すべきであろう。
 そうであってこそ、仮に今は現状維持という結論に落ち着いたとしても、思考の柔軟性を養える。思考が柔軟になれば、将来「これが発明されたからには、日本もそろそろEU型社会になった方が良い」等の意見もわくかもしれないし、「この資源が尽きたからにはEUもそろそろ日本を真似てみては?」という説得も思いつくというものだ。
※東条達も一日に七人処刑された。
 ヨーロッパからの七人同時処刑批判への反論として、「我々は連合国の皆さんから、日本人を一度に七人処刑する事が悪ではないのだと学んだのです。八人以上となると幾ら何でも流石に酷過ぎるかもしれませんけどね。」と切り返す者がいたら面白かったのだが、見当たらなかった。