都市伝説に「犬鳴村」というものがある。
山の中に「この先、大日本国憲法(または日本国憲法)は適用されない」という立札があり、無視して進むと自給自足体制の村人が襲い掛かってくるというのだ。
「隠れ里」関連の物語の中でも設定が近代的でかなり異質なものである。
最初にこの話を知った時は、「なんで襲ってくるのかな? 隠し田とかなら舞台設定は江戸時代にすべきだよね? 政府は何で野放しにしてるのかな? 秘密の研究施設とかなら、もっと安全な手法がありそうだけど」等、様々な疑問がわいてきたものだった。
だが、最近こんな記事(http://karapaia.livedoor.biz/archives/52190495.html)を読んだ。インドの北センチネル島には、大昔から謎の原住民が住み着いており、外部の人間がコンタクトをとろうとしても殺されてしまうらしい。政府もついに諦めて、彼等と接触を試みる事を刑事罰で禁止したそうだ。
そして島の住民は様々な病気への免疫を持っていない事が予想されるため、外部と接触をしない事は生存のために合理的な態度であり、外界の者もその態度を尊重すべきだという話になっていた。疫学の初歩的な知識があったから外部を敵視して襲ってくるのか、偶然外部を敵視する島だったから今日まで存続したのかは不明であるが、色々と納得のいく話であった。
陸の孤島である犬鳴村の連中も、疫病の蔓延を防ぐために外部を敵視しているのだと考えれば、それなりにリアリティのある設定である。