『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』

 『牙狼』シリーズの映画を観た後はすぐに感想を発表するとともに、約一ヶ月ほど「ネタバレ注意」と題名に掲載するのが常であった。しかし、ここ約一ヶ月ほど非常に忙しくて記事を書けず、やっとこうして執筆にこぎつけた次第なので、「ネタバレ注意」とつける必要は初めからないと判断した。

 さて、最新作『牙狼〈GARO〉-月虹ノ旅人-』であるが、敵味方ともに活躍したメンバーを見るに、これは無印のそのまた回想シーンからの冴島家の物語の集大成という雰囲気であった。

 懐かしさも相まって、最初から最後までまったく飽きずに楽しめた。

 テレビ版で冴島鋼牙が妻を奪還するため幼子を残して異世界へと旅立った件については、視聴者の一部には批判的な立場を持つ者もいた。今回の作品は、この件の弁明としての意味もあった。

 第一に、「被害者」である冴島雷牙本人に父をまったく恨んでいないと語らせていた。

 第二に、冴島雷牙もまた似たようなことを咄嗟にするのである。目の前で恋人がさらわれそうになり、危険だが急げば何とかなるかもしれないという状況下では、勇気のある者は自然に走ってしまうものだ、ということを視聴者に理解させるためのアナロジーであったと思われる。

 第三に、長旅になったのは実は未来の雷牙をも救うためだったという展開を、ガジャリを使うことで無理なく描いていたのである。

 以上の構成は見事であり、しかもわざとらしさがなかった。

 DVD化を強く期待したい。