死刑と日中関係

 他の問題で意見が一致する事が多いからという理由で、よく知らない問題に関しては特定の個人や集団の意見に念のため従っておくというのは、それがあくまで暫定的な態度であるという認識さえあるのならば、健全なる知恵であると私は思っている。その種の「知恵者」は、陣営の破壊者を待っている。
 以下の内容は、「朝日新聞が死刑に否定的だから。」という理由で死刑に賛成したり反対したりしている人に再考を促すためのものである。
 ある日私は、もし死刑廃止論者の活躍により「死刑=悪」というのが国民の常識となったらどうなるかを考えてみた。すると、日本人は中国共産党の事が今より嫌いになるであろうと気付いた。
 死刑が悪であるのなら、それを平気で行っている政権もまた悪だという事になる。また、仮にA級戦犯が裁かれるべきだったという立場に立ったとしても、死刑だけはいくらなんでもやり過ぎという事になり、東条英機達への国民の同情心は高まるであろう。靖国神社参拝問題等の争いの熾烈化が予測される。
 「日中友好を一層促進するためにも、死刑を存続させよう!」とか、「死刑を廃止して、日本人の中共への敵対心を醸成しよう!」といった意見が、もっと叫ばれても良いのではあるまいか?