佐藤優氏の対抗馬が現れないものか・・・

 外務省を休職中の佐藤優氏は評論の世界で大いに活躍している。これが本人にとって喜ばしい感想であるかどうかは判らないが、公務員より評論家の方が氏の天職であるとも思えてくる。
 ただ元実務家という立場で外交を語る人物として氏一人だけが極端に目立っているという事態には、少々危険さを感じてしまう。「危険さ」が言い過ぎなら、「物足りなさ」とでも言うべきか。
 確かに国際政治学者・ジャーナリスト・運動家等で外交評論を行う人は数多いが、「元実務家」という立場がもたらす固有の権威を打ち砕くのは困難であるかと思われる。
 佐藤氏の諸主張の根拠としての最後の牙城を陥落させられるのは、やはり同じ元実務家であろう。その種の強力な対抗馬の登場による独占状態の崩壊を私は希望している。
 主流派として昇進を重ねて無事に退官した方々には、世俗の世界で非主流派の若手と同じ土俵で戦うというのは耐え難い屈辱かもしれないが、天下国家のためにそこを曲げて一肌脱いで頂きたいものである。