身体サミット

 東京大学工学部の武田先端知ビルにて開催された「身体サミット」(http://shizen-ikuji.jp/showthread.php?p=60420)なるシンポジウムに行ってきました。
 「生命科学伝統芸能・武術から生命の構造を読み解く鼎談」という謳い文句に惹かれての故です。電脳丸腰庵さんのブログで能と心拍数の話を読んで以来(参照→http://d.hatena.ne.jp/marukoshi-an/20090902)、特に関心のあった分野だったのです。
 最初のパネリストは河野智聖氏。武術からスタートしてやがて整体も取り入れたという生い立ちを話してくれました。人間の本能や心身相関を利用した技の話等も登場し、成程成程と盲信しながら聞いていたのですが、「右目で相手を見ると敵視になり左目で相手を見ると融和的になるから隣の人と試してみましょう(あれ、逆だったかな?)。」という所で、ちょっと信仰が薄らぎました。というのも、実際に同行者と全4パターンを試したところ、私は完全に予告と逆の感想を持ったからです。なお、後で同行者にも感想を聞くと、「何も感じなかった。」と言われました。
 次の跡見順子氏のトークは、対談と講演の中間形態みたいなものだったのですが、それが災いして今一つ中途半端だった様に思えました。
 そうした訳で不満が溜まっていたのですが、最後の安田登氏のトークが実に素晴らしく、来て良かったと心から思えました。『論語』の話から始まったのですが、これが長年論語に慣れ親しんでいた私ですら驚かされる程興味深い内容だったのです。論語関連の本は読み尽くした積もりだったのですが、まだこんなアプローチの仕方があったのかと大いに開眼させられました。氏の論語に関する近刊は必ず入手する予定です。

論語 (岩波文庫 青202-1)

論語 (岩波文庫 青202-1)