『地獄の牛鬼』という怪談がある。
「この世で最も恐ろしい怪談は『地獄の牛鬼』だ。だがその内容を知った人は恐ろしさの余り即死してしまう。」という内容の怪談である。
最近この怪談の原型かもしれない記述を、源信の『往生要集』の中に見つけた。
源信によれば、八大地獄の中で最も恐ろしい「阿鼻地獄」における苦悩の内容を全部聞いてしまうと、血を吐いて死んでしまうそうである。そして、内容を語った人も同様の死に方をするそうである。
語るためには内容を知る必要があるから、あるいは音声を伴わずに文書で読んだ場合には死なずに済む場合もあるという設定なのかもしれない。
この二つの話が酷似している事に気付いた人は、過去大勢いただろうと思う。相当有名な怪談と相当有名な古典であるから、私が最初の一人だという確率は限りなく零に等しいだろう。
しかし、ネット上で「"往生要集" "地獄の牛鬼"」で検索した所、何故か一件もヒットしなかったので、一応発表しておく事にした。
・・・それにしても、何故一件もヒットしなかったんだろう・・・。
- 作者: 源信,石田瑞麿
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2003/05/16
- メディア: 文庫
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