「日本が戦争になったら貴方はどうしますか?」系のアンケートに、しばしば見られる愚かしさについて

 「日本が戦争になったら貴方はどうしますか?」みたいな質問を街でしてその回答を集計し、結果を紹介して嘆かわしいだの何だのと騒ぐ連中は、右にも左にも中道にもいる。
 私はその結果発表を見る度、稀に例外もあるが、大概は質問文も見解も下らな過ぎて、「馬鹿だろ、こいつら。」と思ってきた。以下、今までそう思うに至った理由の中から、主要なものを紹介する。
 第一に、こういったアンケートの多くは、戦況の概略がそもそも述べられていない。
 素人が勝手に戦闘に参加すると、却って邪魔である場合も多い。まずは政府・自衛隊が国民に対して何を望んでいるのかを知らなければ、一般人としては何が倫理的行動で何が愛国的行動なのか、ほとんど把握できないのが戦争である。
 私がこういう単純な質問をされたならば、自分が公務員なら「命令を待つ。」と答えるし、そうでなければ「情報を集める。」と答える。それこそが正義であると考えるからである。その上で臨機応変に、例えば軍人・軍属に志願するなり、戦時国債を購入するなり、耐えがたきを耐えるなりするだろう。
 そういった事情を何も考えずに単純に「(敵軍と)戦う」と答えた連中の多くは、玉音放送の盤を放送前に奪い取ろうとした連中以上に危険である。国家意識というものがまるで無い。連中を野放しにしていると、侵略軍に市民への無差別虐殺の口実を与えてしまうかもしれない。
 第二に、どの国とどんな理由で戦争になったのかを書かなければ、これまた判断に困ってしまう。
 極端な事例を挙げるならば、「日本に成立した唯物論者による政権が、世界中の宗教を根絶するため、全世界への侵略を開始した。なお、兵役は自由参加である。」という状況の場合、普段愛国を主張する幸福実現党員の多くも、参加を躊躇うだろう。
 第三に、そもそも「戦う」と答えた人が誰と戦う心算なのかを全く考えずにコメントをしている連中が多過ぎる。
 極端な事例を挙げるならば、回答者の中には「(自衛隊が外国と戦うのは違憲だと思うので、自衛隊と)戦う」と答えた人もいるかもしれない。
 第四に、国籍のチェックをまともに行ったと思われるアンケートが少な過ぎる。
 特に街頭アンケートの場合は、質問者が日系外国人を日本人だと思って質問しまう場合や、日本国籍を持つ元外国人を容貌だけで不当に除外してしまう場合が多そうである。
 もっと細かい批判をしていくと際限が無いのでこの辺りでやめておく。ここまでの時点でも既に十分に、「日本が戦争になったら貴方はどうしますか?」風のアンケートをしている連中の多くが、如何に真面目に戦争について考えていないかについて、気付いて頂けたと思う。