ベジータ・ナッパ・ラディッツが雑魚を援軍に欲した理由を思い付いた。

 『ドラゴンボール』において、サイヤ人は燃費が悪い。修行の量が同程度ならば地球人よりは若干強いが、強いと言っても大量の食糧を費やしていながら僅かに勝る程度である。これは大林寺の落ちこぼれであった地球人のクリリンと下級戦士の血筋のサイヤ人孫悟空とを比較すれば、明らかな真理である。彼等は共に亀仙人の下で修行をしたが、第21回天下一武道会では孫悟空の方がやや強かった。しかし武道会の直後の食事会では、悟空は通常の地球人の30〜50倍も食べる必要があったのである。
 これに気付くと、『ドラゴンボール』の様々な謎が解けてくる。
 登場当時戦闘力18000を誇ったベジータがリーダーのサイヤ人三人衆が、遠い星(以下、「惑星X」と表記)で苦戦した挙句、その対策として最下位のラディッツにすら劣るであろう悟空を招こうとした件は、長らく謎とされてきたが、燃費を考えればある程度謎が解ける。
 地球と惑星Xの距離は、ベジータ達の技術では約11ヶ月で航行出来る。これは、大雑把に「1年」としたラディッツの発言を盲信していたら予測より1ヶ月も早くベジータが来たという話の流れから明らかだ。また当時ベジータが所属していたフリーザ一味の本拠地「惑星フリーザNo.79」と地球の距離は、同じスピードで18日程度かかる。よって惑星フリーザNo.79から惑星Xに行くには、短めに見積もっても10ヶ月以上かかる。まともな補給は望めなかったであろうから、必然的にベジータ達は現地調達に頼っていた事になる。
 おそらくここでベジータ達は、食糧の調達・運搬・保存に悩んだのであろう。原住民を皆殺しにするには、強大な技を使い続けなければならない。しかしそれには大量の食糧が必要だ。だが食料の調達に追われていては、原住民の繁殖力に追い付かない。そして地質の関係から、サイバイマンもまともに使えなかったのであろう。ラディッツの言う「苦戦」とは、こういった状況を表現したものであったと思われる。
 これならば、雑魚である悟空を援軍として欲したのも、輜重兵の役割を果たす人材を欲したのだろうと、理解出来る。
 またこう考えると、「苦戦」していながら約2年間も兵を更に一人減らす余裕があった件も理解出来る。惑星Xにおいてベジータは、二人になろうと一人になろうと決して敗北はしない。ただ、三人以下だと永遠に勝てないだけだったのである。
 地球人とサイヤ人の混血が強いという設定も、サイヤ人が地球人に燃費の点で劣る事を考え合わせると、かなり納得が行く。エネルギー変換効率が地球人に近付いたサイヤ人は、確かに破格の存在であると言えよう。

DRAGON BALL 3 (ジャンプコミックス)

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DRAGON BALL 4 (ジャンプコミックス)

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DRAGON BALL 5 (ジャンプコミックス)

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DRAGON BALL 17 (ジャンプコミックス)

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DRAGON BALL 18 (ジャンプコミックス)

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DRAGON BALL 21 (ジャンプコミックス)

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