『ひみつのアッコちゃん』のBlu-rayを購入し、細部を大いに検証した。

映画 ひみつのアッコちゃん(本編BD1枚+特典DVD1枚) [Blu-ray]

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映画 ひみつのアッコちゃん(本編1枚+特典DISC1枚) [DVD]

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(映画館で観賞した際の感想はこちら→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20120923/1348397207
 『ひみつのアッコちゃん』のBlu-rayを購入し、映画館では着目し難かった細かな点に着目しまくった。
※校訓
 映画の最初に、アッコちゃんの通っている小学校の校門が登場していた。この校門には、「校訓 自主 誠実 工夫」と書かれていた。
 小学校の校訓にしてはやや高度である。単なる背景にしてはやや不自然だ。よって、これこそがこの映画の重要な主張なのだという、製作陣から観賞者へのメッセージであった可能性が高い。
小学館の雑誌 その1
 製作に携わった小学館の雑誌が、劇中で二度登場する。
 一度目は27分33秒頃の、アッコちゃんの家の居間の場面である。
 ここでは、母親が愛読していると思われる「和樂」・「Precious」と、アッコちゃんが愛読していると思われる「Sho-Comi」が映されている。
 知っている人は知っているだろうが、「Sho-Comi」は過激な性描写で有名である。
 母親は、人間は見た目より中身だと娘に教えたり、食事中のマナー違反をしっかり注意しているのだが、この場面から娘が性知識を増やす事には比較的寛大だという事が判る。
 この教育方針は概ね賛同出来る。子供に過激な性描写を見せるか見せないかについては様々な意見があろうが、そういった議論以前の問題として、先ずは基本的な道徳を教え込む事を必ずやってもらわないと困るからである。
小学館の雑誌 その2
 劇中の2011年末に、アッコちゃんは第98代総理大臣の夫人の前田みち子に化けて、様々な雑誌で赤塚の化粧品を宣伝する。
 46分03秒頃から列挙された雑誌の内、「美的」・「女性セブン」・「SAPIO」・「週刊ポスト」・「スピリッツ」は小学館の雑誌である。
 他に「Business Office」と「Ardito」という雑誌が登場していたが、おそらく架空のものであると思われる。
 面白い事に、週刊ポストの表紙には「美人女医の告白(原文改行)東清美(原文改行)美しい子供を作るSEX(原文改行)子どもを育てる体位」等といった事が平気で書かれている。
 実質的には小学五年生が主人公という事もあってか、劇中では性的な表現は相当抑制されているかに見えたが、実はこんな所にサブリミナル効果じみた仕掛けがなされていたのだ。映画館で気付いた人はほとんど居なかっただろうが、DVD・Blu-rayを買った各家庭では一時停止やコマ送りが多くの悲喜劇をもたらすであろう。
 それにしても不思議なのは、前掲引用文の三行目で「子供」だった表記が四行目で「子ども」になっている事である。
※株価の矛盾
 48分48秒の時点で登場した1月3日の「関東経済新聞」の記事では、赤塚の株価は急騰していた。

 このため、株価を低く抑えようとしていた熱海専務は頭を抱え、共闘者の鬼頭会長は彼を励ましていた。
 しかし52分17秒頃に登場した1月6日の「日商経済新聞」のグラフでは年明けから赤塚株の急落が始まっており、1月2日の時点では明らかにかなり下がっている。

 これは明らかに矛盾であり、減点要素である。
 こういった細かい所まで気になるという悪い癖を持った観賞者もいるのだから、決して手を抜かずに頑張って欲しかったものである。
※最後の呪文の意味
 最後に元の姿に戻る時、「ラミパスラミパスルルルルル」で済む筈の所を、敢えて「テクマクマヤコンテクマクマヤコン、私に成れ!」と唱えている。
 これはイニシエーションを経た上での、事実上の「成人式」だったのであろう。
 人は「自己である」だけでなく、努力と成長によって新たな「自己」の定義を作り上げていくものである。アッコちゃんは元の状態に戻ろうとしたのではなく、経験を通じて練り上げた新たな自己に成ろうとしたのであろう。