伝公羊高「被害者と加害者の立場は三千年の歴史が流れても変わらない」

 西暦2013年に、韓国の大統領は「加害者と被害者の立場は千年の歴史が流れても変わらない」という意味の主張をして日本を批判した。この発言には驚愕した日本人も多かった。
 だが世の中にはもっと過激な発言もある。本日はその内の一つである、「被害者と加害者の立場は三千年の歴史が流れても変わらない」という主張を紹介したいと思う。
 
 儒教テクストの一つに『春秋公羊伝』という書物がある。歴史書の『春秋』の記述について「何故ここでこういう表現を使っているのか?」を分析した、注釈書的な書物である。「公羊高」という人物の著作だと言われてきたが、実態は謎である。
 この『春秋公羊伝』の「荘公四年」の記事では、「紀」という国の滅亡について何故「滅」という直接的な表現が使われなかったのかが議論の対象となっている。
 公羊伝の主張は、「斉国が紀国を滅ぼしたのは九世代前の君主の仇討ちなので正義であり、だからそれを表現する文字も原則とは異なったのだ」というものである。
 そして「九世代も前の事件に関して復讐して良いのか?」という疑問に対しては、「家レベルの仇討ちならいけないが、国家レベルの仇討ちならば、九世代どころか百世代(≒三千年)前の事件に対してもして良いのだ!」と主張しているのである。中々に凄まじい執念ではないか。
 
 なお、私は別に外国の大統領を擁護したいという気持ちがあった訳ではない。「千年」程度の発言で驚く人には是非とも古典を読んで免疫をつけてもらいたいと思っただけである。
 そして敢えて三倍の話を選んだ理由については、まあ大方の御察しの通りである。

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