日本の人口を根拠に『坂の上の雲』の公式発行部数を疑った大川隆法幸福の科学グループ創始者兼(以下略)

 大川隆法著『智慧の法』(幸福の科学出版社・2015)という本を読んだ。
 この本の111〜112ページで著者は「『坂の上の雲』もかなりの量ですし、あれが「二千万部近くも売れた」と言われても、日本人の人口を考えると、「本当かな?」という感じも、しないわけではありません。」と書いている。
 だが『坂の上の雲』は、ハードカバーだと六冊あるし、文庫本だと八冊もある。単純に二千百万を七で割っただけでも三百万にまで減る。そして販売開始からもう四十年以上経過しており、その間に「日本人」のメンバーも随分入れ替わっている。僅か一年以内に百万部売れる本もあるのだから、この数値はそんなに不思議なものではない筈だ。
 著者はむしろ、「幸福の科学の信者は一千万人以上いるから、政党を作れば選挙で圧勝だ!」と思い込んだ際にこそ、日本の人口を根拠に教団の公式発表を疑っていれば、ここまで世間から馬鹿にされずに済んでいたであろう。
 だから「お前が言うな!」と言いたくもなったが、「大きな数字は取り敢えず疑ってみる」という発想を信者に伝えたという点は、一応評価に値する。この本の111〜112ページを読んだおかげで、宗教法人「幸福の科学」の主張のおかしさに気付き始めた信者もいるかもしれない。

智慧の法 (法シリーズ)

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坂の上の雲 全8巻セット (新装版) (文春文庫)

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坂の上の雲 <新装版> 1

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