「X党は一番Aでなければならないのに、こんな事件が起きてしまうなんて…」という表現について

 どの政党にもカラーというものがあり、党がらみで起きやすい事件と起きにくい事件がある。
 例えば自由民主党についていえば、その規模や支持層や制度からいって、収賄事件が起きやすい一方で、査問と称した監禁・暴行事件は起きにくい。
 起きにくい事件が珍しく起きてしまうと、がっかりした支持者が「X党は一番Aでなければならないのに、こんな事件が起きてしまうなんて…」とつい口に出してしまう事がある。
 党の関係者が己を律すると同時に党のイメージを維持する戦略としてこういう発言をするのは仕方がないかもしれないが、一介の支持者が不用意にこういう自己ルールを制定して世に広めるのは考え物である。
 こういう発言がやがて常識になってしまえば、いつか本当に「甲議員は確かに不正な献金を一億円受け取ったが、自由民主党に所属しているので情状酌量の余地がある。一方乙議員が受け取った不正献金は一千万円だが、日本共産党に所属しているので甲より重く罰するべきだ」みたいな風潮が生まれかねない。
 こういう不平等は、国全体としても当然不幸であるが、とりわけ重点的に不幸になるのは、件の表現をした人物の支持政党である。