清水富美加氏の「出家」を機に、幸福の科学教団とその信者に望む事(追記あり)

 清水富美加氏が幸福の科学に「出家」したという事件が話題となっている。
 「関係者の中で、誰がどの程度悪いのか?」という議論にも今後参入するかもしれないが、現時点ではほとんど背景の情報を持っていないので、しばらくはそうした記事を書く予定はない。
 ただ、これを機に幸福の科学教団に望む事がある。それは、ブラック企業を批判する方向へと教義を変えて欲しいという事である。
 かつて幸福の科学の機関紙では、「「ブラック企業」批判は、左翼による「資本主義の精神」への攻撃だ」(http://megalodon.jp/2017-0220-1226-06/the-liberty.com/article.php?item_id=6479)という記事を書いていた。
 これは、「ブラックという言葉には、暴力団とつながりがあったり、許認可を得ないもぐりの業者といったイメージが付きまとうからだ。労使の問題が一部生じているからと言って、"ブラック"と批判してしまうのは、あまりにも悪意に満ちている。」等と書き、労使問題を非常に軽視する文章であった。
 そして数あるブラック企業批判活動の内の一つである「ブラック企業大賞」の企画委員に「左翼運動家と思われる人物がずらりと並んでいる。」事等を根拠に、「ブラック企業批判は、資本主義そのものを否定する立場からの、新たな左翼による労働運動である。」とまで言い張っていた。
 それが清水氏関連の記事では一転して、「清水富美加さんとレプロとの「奴隷契約」を擁護する弁護士の不見識」(http://megalodon.jp/2017-0220-1235-34/https://the-liberty.com:443/article.php?item_id=12602)という記事を書き、普段は自分達が軽視していた憲法・刑法・労働基準法を総動員して清水氏を擁護している。
 身勝手な理由から転向した上にかつての自分達の態度を自己批判していないのは問題だが、国法と世間の道徳に従う方向に変化したのは、カルト度の低下を意味するので、どちらかといえば良い変化の兆しである。
 これに似た変化はかつてもあったそうで、大川隆法氏はいじめられる側を蔑むような本を書いていたのに(参照→http://gallerytondemo.blog.shinobi.jp/life/129)、自分の三男がいじめられた途端に態度を急変させたのだそうである(参照→http://gallerytondemo.blog.shinobi.jp/life/130)。
 これも、色々と問題点は多いが、原則として正しい方向への変化である。
 また以前、「数え年」の計算の仕方を知らない無教養な教団が純朴な信者に虚偽の計算方法を流布していたので、この私自らが親切にも指南をしてやった事がある(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20130804/1375582471)。すると何の返礼も謝罪も無かったが、記事はこっそりと修正されていた(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20130809/1375982964)。
 これまた非常に問題のある行為だが、延々と噓を吐き通そうとするよりかは余程良い。
 こうした傾向を見るに、幸福の科学教団は「悔い改める」のに必要な良心は持ち合わせていないものの、「改める」程度なら何とか出来る場合もあるようだ。
 そういう次第で、今後はせめて労使問題については被害者の立場を考慮する立場へと生まれ変わって欲しい。その程度の要求ならば決して無理難題ではなかろう。
 そして信者諸氏に望むのは、このように教団の主張はどうせ千変万化するのであるから、あまり熱心に今の教義を信じない方が良いと気付いて欲しいという事である。いつ、どんな、取り返しのつかないどんでん返しをされるか、知れたものではないのだから。
 そして清水氏に同情する心を持てたなら、次は世間の様々な立場の弱者へとその同情心を広げていって欲しい。
 幸福の科学の教義では「人生は一冊の問題集」なのだそうだが、多くの弱者に寄り添えば、自然に見識は広がり、福沢諭吉流に言えば「一身にして二生を経るが如」き実り多き生涯を経験出来るであろう。
(以下、2月20日19時50分頃追記)
 幸福の科学における「出家」の意味が、日本語本来の意味と余りにもかけ離れている事を指摘するブログ記事(http://ameblo.jp/two-bass/entry-12249359737.html)を拝読したので、題名及び本文における「出家」に鉤括弧をつけました。

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