映像漫談

『樺太1945年夏 氷雪の門』

本土決戦については、沖縄の悲劇と比較して南樺太の悲劇は忘れられがちだ。 原爆についても、広島の悲劇と比較して長崎の悲劇が忘れられがちだと、しばしば指摘される。 犠牲者数等が冷静(冷酷)に計算されているのだろう。 だが後述する通り、実は樺太の悲…

THE COVE

何かと話題の『THE COVE』(ザ・コーヴ)の試写会に行ってきたので、感想等を報告したい。 まずは、映画の主人公ともいうべきリック=オバリーが、アメリカ等でもイルカ漁の違法な妨害活動をして何度も捕まっているという事実が語られた事に、驚かされた。彼…

『クロッシング』を観て、「善意」についてあれこれ考えた。

『クロッシング』は、脱北者とその家族を描いた映画である(参照→http://www.crossing-movie.jp/index.html)。本日の午前に私はこれを観てきた。 まず、主人公親子の善意が裏目に出続けた事に気付いた。 主人公は北朝鮮で育った、優しいが単純な男である。…

隠れた傑作である様な気もする『ゾンビ・ナース』

ゾンビ・ナース [DVD]出版社/メーカー: アルバトロス発売日: 2009/08/05メディア: DVD クリック: 18回この商品を含むブログ (4件) を見る 少し前の話になるが、引越しの際に、電気・ガス・水道・電話回線・放送協会・粗大ごみ回収関連等に電話をした。 具体…

『DEATH NOTE リライト2 Lを継ぐ者』を視聴

DEATH NOTE リライト2 Lを継ぐ者 [DVD]出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)発売日: 2008/11/21メディア: DVD購入: 1人 クリック: 25回この商品を含むブログ (2件) を見る 今年の一月末に、『DEATH NOTE』の主人公の原作上の命日があった筈なのだが、葬式の様な…

『意志の勝利』

夏にはソ連製アニメを観に行ったが(参照→http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20090815/1250309716)、この12月23日にはシアターN渋谷に『意志の勝利』を観に行った。 私は全体主義国の芸術を拒絶してしまうのは勿体ない事だと思っている。そもそも自由主義国産…

『カティンの森』を観た。

映画『カティンの森』(http://katyn-movie.com/pc/)を岩波ホール(http://www.iwanami-hall.com/)で観てきた。題名通り、カティンの森事件とそれを告発出来なかった時代とを告発した映画である。 時間帯や場所等を考慮に入れても、御年配の観客が妙に多い…

映画『永遠の法』を鑑賞

幸福の科学が『仏陀再誕』(http://www.buddha-saitan.jp/wb/index.html)という映画を製作し、既に前田有一氏言う所の「勇者」達が(参照→http://movie.maeda-y.com/movie/01367.htm)、作品の紹介・批評等を数多くネット上に掲載している。 こうした世情に…

映画版『ひかりごけ』を観た。

ひかりごけ [DVD]出版社/メーカー: 日本コロムビア発売日: 2001/05/19メディア: DVD クリック: 78回この商品を含むブログ (9件) を見る 名作として絶賛されている武田泰淳の『ひかりごけ』を読んだ時、私は時代的限界の方に目が行ってしまった。 確かに当時…

遅れ馳せながら『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観た。

昨日、遅れ馳せながら『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観た。 この作品には楽しみにしていた電脳丸腰庵さんの連載を一回停止された事があるので(参照→http://d.hatena.ne.jp/marukoshi-an/20090627/p2)、私にとっては遺恨のある相手である。「ホンモノ…

『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』の限界が逆に教えてくれたもの

ダイアリー・オブ・ザ・デッド プレミアム・エディション [DVD]出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント発売日: 2009/04/24メディア: DVD購入: 8人 クリック: 38回この商品を含むブログ (36件) を見る ジョージ=ロメロ氏の制作するゾンビ映画は、社…

日本の右翼アニメ『一休さん』に隠された反共和国の暗号

『一休さん』は日本を代表する右翼アニメであり、厚生省中央児童福祉審議会の推薦も受けている。 普段の内容としては、第一身分に属する一休宗純と第二身分に属する蜷川新右衛門が連帯して桔梗屋の商売を邪魔する事でブルジョア革命の萌芽を摘み取ろうとする…

ロシア革命アニメーション

事情によりかなり報告が遅れてしまったが、少し前に渋谷で『ロシア革命アニメーション 1924-1979/ロシア・アヴァンギャルドからプロパガンダへ』(http://www.uplink.co.jp/x/log/003038.php)を観てきた。まだ上映中なので紹介しておきたい。 A−1 ソビエ…

二つの『蟹工船』

以前、『蟹工船』が既に著者の意図した役割は終えているという内容の日記(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20080327/1206606500)を書いたら、その直後に空前の『蟹工船』ブームが到来し、大いに恥じ入った(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20080503/12097…

昼に強い異形というアイディアを思いついた。

レンタルDVDで『アイ・アム・レジェンド』を観た。 原作の小説は、人類の大半が吸血鬼になった世界では、彼等と戦っている旧人類たる主人公こそが怪物的存在であったという話である。 自分の正義を疑い相手の視点も理解しようと努める事は、民族的憎悪等の問…

映画『動物農場』――ベンジャミンはそんなキャラではない!

映画『動物農場(http://www.ghibli-museum.jp/animal/)』が全国各地で上映されている。私も観てきた。 公式サイトの「作品解説(http://www.ghibli-museum.jp/animal/about/)」では、ラストシーン以外は原作に忠実であるとしているが、実際には様々な部分…

ニュースの誤報道は謝罪だけでなく訂正もして欲しい。

先程「NHKニュース7」を視ていたら、バラク国防相の発言の字幕が間違っていたという謝罪が突如行われた。 しかし残念な事に、どの部分が間違っていて正しくはどうであったのかという話は出なかった。 訂正のための原稿を即座に用意するのは確かに難しいであ…

信長と宗教団体

私の見聞が狭いせいかもしれないが、信長が登場する時代劇では、延暦寺や本願寺といった信長に敵対した宗教団体は、被害者として扱われる場合が多く、そうでなくても悪役になる事はまずない。原作となった小説で如何に多くの生臭坊主が登場していても、やは…