雑談

「私たちは『1984年』の世界に住んでいる!」と主張する者は、その主張の是非に関わらず、ほぼ全員が信用に値しない。なお、一応例外もいる。

村上春樹氏が『1Q84』という小説を書いたせいで、私が長年親しんできた『1984年』の知名度が上がった。 それは良いのだが、困った事に『1984年』をめぐる言論の質の平均は劣化を免れなかった。 特に酷いのが、政府批判に絡めて「今この社会こそが『1984年』…

阿衡事件の遠因か? 元慶八年六月五日の詔「藤原基経の功績は既にこの四人を越えた!」 余談として霍禹の話題

『日本三大実録』の第四十六巻によると、光孝天皇は即位した直後の元慶八年(西暦884年)六月五日に詔を下し、「藤原基経の功績は既にこの四人を越えた!」と認定している。 その四人とは、「伊」・「霍」・「祖淡海公」・「叔父美濃公」である。 「伊」とは…

やや日刊カルト新聞社で廃止されたポスト、「創始者兼総裁」についての疑問

やや日刊カルト新聞社で、藤倉善郎氏が務めていた「創始者兼総裁」というポストが、藤倉氏の解任と同時に廃止され、新たに「容疑者兼総裁」というポストを設けるという発表(https://drive.google.com/file/d/1K1d7dTlUVzD6RhRoGvMP3K4P7OvoNr26/view)がな…

藤村操は「ホレーショの哲学」を理解して使ったのだと思う。

「英語の"your"には「所謂」という意味もあるぞ。」と教えるついでに、「藤村操の「巌頭乃感」の「ホレーショの哲学」とは、『ハムレット』の"your philosophy"の誤訳だ!」と断言する者が多い。中には「誤訳だ!」を通り越してそもそも意味を理解していなか…

ELBISプロジェクトで閉鎖の扱いになっていて、幸福の科学の公式情報では存在していることになっている、東大黎明拠点を観察してきた。

幸福の科学教団の学生部の公式情報(本日取得の魚拓→https://megalodon.jp/2018-0308-1147-05/hs-gakuseibu.com/access)によると、「東大黎明拠点」という拠点が「東京都文京区向丘1-2-5 TCH2F」に存在する事になっている。 また公式の「精舎・支部へのアク…

古本屋を愛用する私は、「右傾化」言説には賛同出来ない。しかし他の立場の人も理解出来る。例えば・・・

前にも何度か書いたかもしれないが、私は原則として古本屋でしか本を買わない。そして行きつけの古本屋の中には、売れなくなった極めて古い本を十円位で売ってくれる店もある。 このため、古い本を日本の平均よりは読んでいる自信がある。 古い本を読むと、…

西部邁氏の死後の騒動について。

二十年以上前から自分が死ぬ時は自殺だと主張していた西部邁氏が自殺をした。 自分には何の驚きも無かったが、twitterなどでは「死ぬような性格に見えなかったので、きっと謀殺だ!」みたいな事を叫んでいる人がいた。 「馬鹿な連中だなぁ!」と思ったが、念…

弊ブログの幸福の科学観察に終わりが見えてきた。

やや日刊カルト新聞に「幸福実現党、党員数11倍に! 収入の7割強を宗教法人へ還流=2016年分収支報告書」(http://dailycult.blogspot.jp/2017/12/11-72016.html)という記事が載せられていた。 これによると、現在の幸福実現党(以下、「実現党」)の収入の…

現実と想像の区別がつかない人を多少見直した話

※以下の記事は、個人情報保護のために事実の約20%を改変したものです。 世の中には思い込みが激し過ぎて現実と想像の区別がつかない人がいるらしいことは、精神医学の素人である私でも、噂を通じて知っていた。 ネット上ではたまにそういうキャラクターが登…

これだけ芸能人や政治家の不倫を社会的に叩く日本で、姦通罪の創設を唱える声が聞こえてこないのは何故だろう?

テレビをつけると毎日のように芸能人や政治家の不倫がやたらと叩かれている。 不倫はそもそも犯罪ではなく、せいぜい民事上の違法行為にすぎない。それなのに大々的にスキャンダルの扱いになっている。 ここまでは多くの良識派や法律マニアが指摘する所であ…

胡种と胡軫の関係 ついでに李傕の昇進に関して思ったこと

後漢書王允伝には司隸校尉の「胡种」という人物が登場する。 王允政権時代の右扶風であった王宏が、李傕政権によって逮捕されると、王宏と仲の悪かった司隸校尉胡种は、王宏を殺してしまう。しかし夢の中で王宏に杖で殴られ、その後すぐに死んでしまったのだ…

数の暴力を活用した張飛 vs 少数の兵で果敢に挑んだ曹操

※最近手元に本がないので、引用した漢文は全部、中央研究院の漢籍電子文献資料からのものです。 『三国志』の張飛伝では、曹操が長阪で劉備に追いついた時、張飛が僅か20名の騎兵でしんがりを務める場面がある。 「曹公追之,一日一夜,及於當陽之長阪。先主…

日本ファーストの会の立ち上げは一瞬出遅れた。

ちょうど今、日本ファーストの会の立ち上げが少しだけ盛り上がっているので、その感想でも書いてみようと思う。 六月から七月にかけて、内閣支持率は非常に低かった。これについて、最大の原因を某学園関連のスキャンダルのせいであると分析する向きもあった…

「戦う民主主義」は必ずしもその国・その時代の「中道」の味方ではない。

制度としては概ね民主主義を採用し、その上で思想良心の自由を一定程度制限して極論を法的に禁止する、所謂「戦う民主主義」というものがある。 右派や左派に属してこれを推奨する人には、しばしば「君もただでは済まない可能性が高いぞ!」という警告が寄せ…

「未だに麻原彰晃への帰依をやめていない」がアレフの脅威を煽る定型句となっているが、本当に麻原至上主義が蔓延しているのなら、ある意味では安全だ。

「未だに麻原彰晃への帰依をやめていない」がアレフの脅威を煽る定型句となっているが、本当に麻原至上主義が蔓延しているのなら、ある意味では安全だ。 なぜなら、麻原以外の者からの命令を真摯に受け止めない信者と、どうせ信者に命令を下せない状況にいる…

辛淑玉の筒井評は法螺と決めつける訳にはいかない。

検索で飛んできて題名だけ読んで、「あ〜、また一つ新たに無理な辛淑玉擁護記事を踏んでしまった!」と思って帰ろうとしている人もいるかもしれないが、それは誤解である。一応最後まで読んでいって欲しい。 最近、筒井康隆が韓国の日本大使館前に設置された…

韓国の大統領罷免問題について、「まるで日本だ!」という意見だけ何故か見かけなかったが、私はそう感じた。

韓国で、スキャンダルのあった大統領が国民的運動の力を背景に罷免され、その後は後継者選びでも小さなスキャンダルの嵐が巻き起こり続けているようである。 管見の限りでは、韓国のそうした状況を日本と比較する言論の大半は、「韓国の民主主義は日本よりす…

清水富美加氏の「出家」を機に、幸福の科学教団とその信者に望む事(追記あり)

清水富美加氏が幸福の科学に「出家」したという事件が話題となっている。 「関係者の中で、誰がどの程度悪いのか?」という議論にも今後参入するかもしれないが、現時点ではほとんど背景の情報を持っていないので、しばらくはそうした記事を書く予定はない。…

私が「日本は韓国から民主主義を学べ」論者の大半を信用しない理由は、結論上の同志の多数派とは違っていたようだ。

最近、「日本は韓国から民主主義に学べ」論と、それへの反発論を見かけるようになった。私は反発論者であるが、どうやら反発論者の中では異端に属すると気付かされた。 というのも、反発している人の大半は、「韓国の方が日本より民主主義が進んでいる」とい…

先進諸国の移民の受け入れ問題について、余り論じられていない二つの関連問題

移民問題については、「受け入れた移民をどう扱うか?」という問題とは別個に、「そもそも何人ぐらい受け入れるか?」という議論がある。経済や人権を論拠にして、日々様々な議論が行われている。 しかし、私の見聞が狭いせいかもしれないが、これと深く関わ…

インテリへの最大の嫌がらせ【実例編】

1 はじめに ずっと昔に、議論をしているように見せかけて嫌がらせをする連中について、「インテリへの最大の嫌がらせ【理論編】」という記事(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20081028/1225147129)を書き、最後の方で「私は最近身近で採取に成功した典型…

ダブルスタンダードを批判する「冷笑系」にお困りの皆様へ

最近、韓国籍の人物が日本で仏像等の像を大量に破壊したという報道がなされた。 なお「という事件があった。」ではなく「という報道がなされた。」という表現にしたのは、私は判決が確定するまでは表現の上では無罪を推定すべきだと考えているからである。 …

ノーベル賞とナショナリズムの関係をめぐる議論で見過ごされがちな寿命の問題

日本人のノーベル賞受賞に浮かれる態度にも、それらへの批判・警鐘にも、様々なレベルのものがある。 底辺クラスでは、受賞者への自己の無自覚な投影による驕りと、「お前が優秀なわけでもないのに!」という原始的な批判がぶつかりあっており、数の上ではひ…

「マイノリティによるマジョリティ差別も批判すべき」どころか「自己の属する集団への差別も批判すべき」と考え始めた。

「マイノリティによるマジョリティ差別も批判すべきか?」という議論がある。それに近い議論として「批判すべきか?」の部分が「禁止すべきか?」等になっている亜種も様々あるが、今日の記事ではそうした近接の議論もこの論題を使って事実上論じる事にする…

「せんみつ」・「三味線」・「悪魔」・「マクベスの魔女」の中で一番怖いのは・・・

「せんみつ」という俗語がある。意味は複数あるが、ここでは「真実を言う確率が0.3%の極端な嘘吐き」という意味で用いる。 こういう人間は、何でも信じてしまう子供には強敵だ。大人にとっても、何の情報もない状態で初対面だった場合には、かなりの強敵だ。…

「「帰化」という単語は元々は差別的な意味なので使用すべきでない」という意見を憂慮中

「「帰化」という単語は元々は差別的な意味なので使用すべきでない」という意見を最近よく見かける様になった。 これについては一個の見識だとは思っているので「絶対反対だ!」と対抗する気にはならないのだが、副作用が強過ぎる見解であると思い、憂慮して…

もしも最近の幸福の科学の暴走が全て計算づくであったとすれば・・・

最近の幸福の科学は、ほとんどの人が嘘だと見抜けるような質の低い霊言を発表したり、教義の急な変更があったり、国法に背いて恥じない姿勢を教祖が堂々と公言したりと、暴走が続いている。そしてその暴走の結果、比較的思考力の高い者から順に退会が続いて…

「国連は中立である(べき)か?」という議論の副作用について語ってみる。

リアルタイムで視聴したのか録画で視聴したのかは秘密であるが、歴史教科書問題に関する討論番組を視聴した経験がある。 ある教科書が国粋主義的かそうでないかをめぐる論争だったのだが、その中で反対派の一人が「大日本帝国憲法はアジアで最初の憲法とか書…

「目先の弱者を救うために自由を放棄すると、長期的に見て却って弱者の不利益になるから、自由主義を守るべきだ」論の反対者の全員が、論を理解せずに反対しているというわけではない。

「目先の弱者を救うために自由を放棄すると、長期的に見て却って弱者の不利益になるから、自由主義を守るべきだ」論については、私自身は賛同している。 しかし賛同者の同志達の中には、「反対者は単にこの高度な論理を理解出来ない馬鹿者だから反対している…

二世政治家を減らすための提案は、何故ほとんどが極論なのだろうか?

「二世政治家を減らそう、あわよくば無くそう」という提案は、管見の限りではほぼ全て極論である。 具体的には、「親が政治家であった人物から被選挙権を剥奪する」とか、或いは少し妥協した振りをして「親と同じ選挙区からは立候補させない」とか、そういっ…