主張

「X党は一番Aでなければならないのに、こんな事件が起きてしまうなんて…」という表現について

どの政党にもカラーというものがあり、党がらみで起きやすい事件と起きにくい事件がある。 例えば自由民主党についていえば、その規模や支持層や制度からいって、収賄事件が起きやすい一方で、査問と称した監禁・暴行事件は起きにくい。 起きにくい事件が珍…

庶民にとっての金正恩政治の是非を、報道して欲しいと思う。

確か陳舜臣氏の小説か評論で触れた記憶しているのだが、前漢の武帝と呂后の比較論を読んだ事がある。 呂后は史書に名の残る上流階級の人物を大勢殺したせいで極悪人とされてきたが、その治世は安定しており、人口も着実に増えていったらしい。 武帝はその逆…

進歩の無い単なる転向者も社会にとっては有用な人材である。

政治思想であれ宗教であれ、所属している団体に嫌気がさしただけで転向をする人がいる。こういう人は「騙されやすさ」では全く変わっていない。本人に進歩が無いのみならず、教祖の命令通りに反社会的な行為をする確率は同じなので、周囲にとっての危険度は…

「ドイツの戦う民主主義は綺麗な戦う民主主義、韓国の戦う民主主義は穢い戦う民主主義」という立場について

ワイマール共和国と大日本帝国は、独裁が成立するにいたった原因がほぼ逆であったため、それを反省して作られた戦後の西ドイツと日本の制度もほぼ逆になった。 少数意見・極端意見を尊重し過ぎてナチスの台頭を招いた事を反省した西ドイツでは、「戦う民主主…

「AをXの一員扱いしたらXに失礼」という言い回しを、単なる皮肉としてではなく、真理として理解しよう。

「あいつはXの(事実上の)所属に違いない」とレッテルを貼ってくる人物は多い。私は派閥抗争の激しい組織内で長らく中立派を貫いた経験から、そういう人物の被害には慣れっこになってしまっていた。 慣れた後は「レッテルを貼られても平気な自分は度量が広…

一介の私人が韓国で土下座したことを問題視するなら・・・

私は一国の首相にもプライベートタイムは存在して良いと考える立場なので、首相が靖国神社に参拝しても批判した事は無かった。 一方で、首相級の公務員に私的な時間は存在しないという立場も一つの考え方だと思っているので、そういう立場の人が首相の靖国参…

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という諺について

悪僧が悪事をはたらく際に、自分の風体を少しでもその悪事に活用していたならば、その悪僧の悪事を憎む者が、その悪僧の袈裟をも憎むのは当然である。 悪僧が被害者からむしりとった大金で壮麗な袈裟を新調して、その袈裟の威光でさらに多くの人を騙したなら…

供託金とその対価について、選択制を導入してみるのもいいかもしれない。

日本の選挙に立候補しようとすると、他国と比較してかなり割高な供託金を要求される。そしてかなりの票を集めなければ、その金は返ってこない。 これについて、「参入障壁だ!」と批判する声もあれば、「払った額を遥かに超えるサービスが受けられるぞ!」と…

教義からカルト度を判断すべきではない。 その1

ある集団、特に宗教団体のカルト度を測定する際に、教義の内容を重視する人々がいる。彼等は、教義を読み込んだ上で、類似する伝統宗教の教義や、科学的真理や、世俗の規則等と比較し、そこから逸脱の度合いが高ければカルトと見做すのである。 現役の宗教家…

歴史教科書の年代、話題ごとに「名目」に着目するか「実質」に着目するかを統一して欲しい。「実質」に着目する場合は用語もより無機的にして欲しい。

ニュースで読んだのだが、最近の歴史教科書では鎌倉幕府の成立年代をその「実質」に着目して1185年だと教えているらしい。 だが本当に「実質」に着目するならば、「将軍」や「将軍とその部下達」等の意味を持つ「幕府」という古式ゆかしい雅名を用いるのでは…

小異を捨てずに大同内部で相互批判し、大いに敵を利せ。それは敵を変容させる。

以前、「小異を捨てて大同につけ」論を批判する記事を書いた(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20140114/1389645511)。 当時の私が掲げた論拠は、「ある集団を恣意的に「大同」呼ばわりしても、それを包括する大集団や別の枠組みによる異集団が観念出来る以…

Aという集合内部の小集団aの悪業を、Aの所業にするか、aの所業にするかで、世界は変わる。

これは、以前書いた「一部の所業を全体に拡大する形式の差別には、甘やかしが混じっている。」(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20141016/1413387637)という記事の姉妹編的性格の記事である。 Aという集合の内部に、aという小集団がいたとする。Aだがaでな…

「オウムを知らない子供達」に対しては、情報だけを伝える控え目な語り部になりたい。

私は第二次世界大戦を経験していない。「戦争を知らない子供」だった。 戦争を経験している大人達が、自衛隊を極端に警戒していると、反発を感じたものであった。そのため、こう何度も彼等を説得した。 「確かに、自国の軍隊に苦しめられたという貴方方の貴…

一部の所業を全体に拡大する形式の差別には、甘やかしが混じっている。

「男はみんな狼(性犯罪者予備軍の隠喩)」という有名な言い回しを、「男性への甘やかし」だと主張している人を見掛けた事がある。 性犯罪者予備軍呼ばわりされて喜ぶ者は少数派であろうし、この言い回しを真理だと思い込んだ者によって痛くも無い腹を探られ…

「死刑は野蛮」という言い回しの副作用について

日本の死刑廃止論者の一部には「死刑は野蛮」と主張する人々がいる。 世の中には野蛮人呼ばわりされると酷く傷つく人が大勢いるので、そういう人々に刺激を与えるという一点に絞れば、この言い回しは劇的な効果を持つであろう。 しかしこの言い回しには大き…

治安維持法の乱用に御注意

本記事は特定秘密保護法案に関する論争を切っ掛けとして書かれたものであるが、今後も他の法案をめぐって起きる論争に参加しようとする人々に対しての助言の意味合いが強い一般論的なものである。今回の法案には賛成の側であった人も、他山の石にでもする程…

国境を越えてナショナリズムを刺激し合い、狂信的ナショナリズムを駆逐しよう。五十歩百歩も継続すれば力となる。

最初に、私が最近目にした言論で一番馬鹿馬鹿しかったものを意訳して紹介しよう。 「日本の某新聞が隣国のナショナリズムを批判していた。確かにナショナリズムは悪だ。だが「人の振り見て我が振り直せ」の諺通り、先ずは我々のナショナリズムを批判するべき…

「俄人権派」や「自称環境派」が栄える社会を歓迎する!

中華人民共和国の支配層が大嫌いな日本の国粋主義者が、敵の敵は味方の論理でチベット人の人権の拡張を目指すと、大概は「俄人権派」と馬鹿にされる。共産主義革命を目指す人々が、環境問題を考える振りをしたダミーサークルを作って何時の間にか自然消滅さ…

祝! 後任厚労次官に村木厚子氏の方針!

久々に内閣を支持したくなるニュースを目にした。先日の産経新聞第五面によると、政府は後任の厚労次官に村木厚子氏を充てる方針を固めたとの事である。 この記事によれば、二代続けて旧労働省から厚労次官が出るのは異例らしい。言わば抜擢人事である。 村…

橋下風俗発言は、もっと多角的に活用すべきでは?

橋下徹氏が在日米軍に性犯罪対策として風俗の活用を奨めて断られたらしい。そして自民から共産まで、これを一斉に叩いているとの事である。 維新の会潰しには格好の素材なので、皆が橋下発言を叩きまくるのは良く解る。 だが左派や反米右派までが「橋下は恥…

期間限定付きの独占的祭祀権を創設するという手段を考えた――高橋哲哉著『靖国問題』提案の修正案

高橋哲哉著『靖国問題』(筑摩書房・2005)は、靖国神社をめぐる数多くの過去の愚論を斬りまくる痛快な書であった。 但し私は、最後の最後で登場した著者自身の提案(235ページ)だけはずっと気に入らなかった。 ここには「合祀の取り下げを求める内外の遺族…

冤罪で従業員を解雇した企業も批判の対象となる風潮を創りたい。

誣告により起訴され、裁判で勝ったは良いもののそれを機に定職を失い、結果として家族や人生を失った、という話はしばしば耳にする。甚だしくは、明らかに冤罪であるのに有罪判決まで確定してしまった、という話まで耳にする。 こういう話で批判の対象となる…

今更ながら在特会問題への興味を高めた理由

前回記事(http://d.hatena.ne.jp/gureneko/20130502/1367425679)の橋下徹氏に引き続き、私は今更ながら「在日特権を許さない市民の会」(以下、「在特会」と表記)への興味を高めた。 興味を高めた直後は、「在特会」はその主要な反対派も含めて既に語り尽…

「頑張れ、橋下徹!維新の会の中で!」

「今時珍しい」と長年言われ続けていたが、私はずっと橋下徹氏にほとんど興味を持っていなかった。今年の春に大阪に行った際に「なにわの海の時空館」の貴重な復原船「浪華丸」の危機を知り、それでやっと少しだけ嫌いになっただけであった。 そして昨日薬局…

誰もが「騙された」人なのだ。

幸福の科学の欠点を愉快な文体で告発し続けている「サンポール」(http://sanpole.blog.fc2.com/)というブログがある。その中にある元信者に向けたメッセージ記事「【020】 元信者のみなはん、自信を持ちましょう!」(http://sanpole.blog.fc2.com/blog-en…

対馬の観音寺の観世音菩薩坐像盗難事件に関して思う事色々

韓国の犯罪者による日本の文化財窃盗事件については、数年前から噂としては聞いていた。しかし怪しげな嫌韓情報と玉石混淆になっていたので、恥ずかしながら私は長らく無視していた。私がこの噂を信じ始めたのは、今年の初め頃に、この問題を研究した菅野朋…

身体変形罰は、周囲に対してこそ残酷である。――峯岸みなみ氏の丸刈りは本人だけの人権問題ではない。

世の中には「身体刑」というカテゴリーがあるが、この範疇には単に痛みを与える刑と外見を変えてしまう刑とそれら両者を兼ね備えた刑とが混在している。よって本稿では「身体変形罰」という概念を用意した。「刑」ではなく「罰」という文字を使ったのは、私…

カルトよ、これが子路だ!

孔子の弟子に仲由という人物がいる。字の「子路」の方が有名なので、本稿でも以下そう表記する。 中島敦の「弟子」の特に序盤では、子路は剛毅木訥な用心棒タイプの弟子として描かれている。『論語』を読まずに「弟子」だけを読んで知ったかぶりをしている一…

いっそ、政治的アピールを認めるスポーツ大会を併設してはどうだろうか?

前回のオリンピックでは、一部の選手の政治的アピールが話題となった。当時の日本のネットの言論では、その選手や選手の祖国を強く批判する声が広範囲から聞こえてきた。 しかし日本国内でいくら筋の通った批判をした所で、問題が解決される訳ではない。また…

本気でノーベル賞の権威に挑んでみる人はいないものか?

ノーベル賞、特にノーベル平和賞の対象の選定については、物議が醸される。今まで多くの人がノーベル賞の権威に挑んできた。 挑むといっても、態様は様々だ。 まず、「こいつはいかん。そいつは早過ぎる。あいつは共同受賞すべき。A作の子孫は賞を返上すべき…